2008年6月23日(月)「しんぶん赤旗」
論戦貫いた 156 日間
日本共産党と第169通常国会(1)
後期高齢医療
改悪の原点から反対
「ねじれ」「政争国会」などとマスメディアが報じた第百六十九通常国会。しかし、日本共産党国会議員団は、自公政治に代わる新しい政治を求める国民の願いに応えるため、国民の運動と連携し、徹底した論戦で政治を動かしてきました。百五十六日間の会期中、“論戦力”はどのように発揮されたのか、各分野ごとにみていきます。(国会取材団)
国会閉幕を翌日にひかえた二十日朝。雨にもかかわらず、国会前には「後期高齢者医療制度廃止法案の可決・成立を!」と訴える多くの高齢者が座りこみました。
民主、社民、国民新の各党が衆院で廃止法案の審議をボイコットするなか、廃止を願う人々の間では、最後の最後まで審議入りに努力する日本共産党の姿が話題になりました。
勇気もらった
「衆院で民主党などが廃止法案の審議に応じないのには、正直がっかりだが、共産党の奮闘には非常に勇気付けられました」
こう話すのは倉本朝夫さん(73)。隣で座りこみを続ける山田隆之さん(71)も、「後期高齢者医療制度の問題では、共産党が抜群の力を発揮した」と相づちを打ちました。
自ら廃止法案を提出しながら突然、たたかいの舞台から降りてしまった民主党などの姿勢には地方紙も、「共産党以外の三党が審議拒否とは筋が通らない」「論戦抜きの対決姿勢にすごみはない」(北海道新聞十三日付)と厳しい論評を加えていました。
一方、日本共産党について、「朝日」十七日付コラムは、「後期高齢者医療制度の問題点を粘り強く訴えてきた共産党」として、小池晃政策委員長に「敢闘賞」を贈りました。
日本共産党が大きな力を発揮できる背景はどこにあるか―。
そもそも後期高齢者医療制度の改悪の歴史をさかのぼれば、二〇〇〇年十一月の健保法改悪の際、高齢者医療を別建ての制度にすることを盛り込んだ付帯決議の共同提案に民主党も社民党も加わりました。〇六年に、医療改悪法案が出されたときも、高齢者差別という本質を突く論陣を張ったのは日本共産党でした。
野党結束に力
だから、今通常国会でも、「長寿を喜ばない社会でいいのか」(三月十四日の参院予算委員会で小池氏)と正面から政府を追いつめ、後期高齢者医療制度を廃止する一点で野党四党の結束を促す要(かなめ)の役割を発揮できたのです。
この一貫した立場は、野党四党が五月二十三日に共同で参院に提出した廃止法案の論戦でも輝きました。
廃止法案に対し、与党側は、「老健制度は限界というのが与野党の認識だったはず」(三日の参院厚生労働委で自民党の尾辻秀久元厚労相)などと繰り返しました。
この批判は一貫して医療改悪に反対してきた日本共産党にはあたりません。答弁者として小池氏は、「間違いが明らかになっていながら、引き返そうとしない与党の態度こそ無責任だ」(三日の参院厚生労働委)と堂々と反論しました。
廃止法案は継続審議となりましたが、世論の圧倒的多数は、同制度の廃止を求めています。
「毎日」十六日付の世論調査では、同制度の廃止について「賛成」が56%で、「反対」30%を大きく引き離す結果となっています。
国民の心からの怒りに真正面から応える政党はどこか―。今後、いっそう国民の熱い視線が注がれることになります。(つづく)
第169通常国会
成立した法律
第百六十九通常国会で成立した法律は次の通りです。(日本共産党は全体の67%に賛成し、●印は反対しました)
【内閣提出・63本】
●改定地方交付税法、●二〇〇八年度公債発行特例法、●改定所得税法、●道路財源特措法(改定道路整備財源特例法)、●改定地方税三法(地方税法、地方法人特別税暫定法、地方交付税法)、●改定関税定率法、●改定国土交通省設置法、観光圏整備法、歴史的風致維持向上法、改正地域公共交通活性化法、犯罪被害者給付金法、改定裁判所職員定員法、●改定税関手続例法、改正国際開発協会法、●改定公立学校標準法、改正戦没者父母特別給付金法、改正駐留軍離職者法、独立行政法人緑資源機構廃止法、●生糸輸入調整法廃止法、改正水産加工資金法、改正特許法、改正公害健康被害補償法、改正地域再生法、改正構造改革特区法、改正電波法、改正犯罪被害者保護法、改正在外公館名称位置給与法、改正感染症予防法、中小企業承継円滑化法、●改定海上運送法、改正港湾法、森林間伐推進特措法、農商工連携促進法、改正地域産業活性化法、農林漁業バイオ燃料法、改正食品製造管理高度化法、独立行政法人日本原子力研究開発機構法、改正暴力団対策法、外国船舶航行法、改正出会い系サイト規制法、改正特定電子メール法、●改定社会教育法、改正学校保健法、●改定信用保証協会法、改正中小企業信用保険法、●改定中小企業金融公庫法、独立行政法人国民生活センター法、改正消費者契約法、●改定金融商品取引法、改正エネルギー使用合理化法、改正揮発油品質確保法、改正消防法、ペットフード法、●保険法、●保険法整備法、改正介護保険法、●改定少年法、改正特定商取引法、●改定空港整備法、●改定地球温暖化対策推進法、●国家公務員基本法
【議員立法・17本】
国民生活混乱回避地方税法、●改定租税特措法、改正国会図書館法、介護従事者人材確保法、●宇宙基本法、生物多様性基本法、改正石綿健康被害救済法、オウム真理教犯罪被害者救済法、改正被爆者援護法、改正携帯電話不正利用防止法、改正地震防災対策特措法、ハンセン病問題解決促進法、有害サイト対策法、改正地方自治法、●研究開発力強化法、改正性同一性障害者特例法、教科書バリアフリー法
【通常国会で継続審議となった主な法案】
地方公務員法・地方独立行政法人法改定案、国民年金法一部改定案、二〇〇八年度政管健保特例法案、高度専門医療独立行政法人法案、障害者雇用促進法改定案、労働基準法改定案、被用者年金一元化法改定案(以上、内閣提出)
後期高齢者医療制度廃止法案、民法改正案、アフガニスタン復興支援特措法案(民主党提出)など(以上、議員立法)
【廃案となった主な法案】
電子投票法案、防衛省設置法改定案、児童福祉法改正案など