2008年6月23日(月)「しんぶん赤旗」

米国の酪農農場

7割、ヨーネ病汚染

紙議員調べ


 長い潜伏期間のあとに発病する牛の感染症「ヨーネ病」(菌)に米国の酪農農場の約七割が汚染されていることが、四月に公表された米国農務省の報告書(研究リポート)で明らかになりました。紙智子参院議員の調査で判明したもの。食品衛生法は、ヨーネ病に感染した牛の食肉と乳製品の流通を禁止しており、米国からノーチェックで輸入されている乳製品への対策強化が迫られています。


 報告書によると、米国内の酪農農場のうち、ヨーネ病の感染が認められたのは全体の68・1%でした。農場の規模ごとの集計では、五百頭以上の農場で感染が95%と高率なこともわかりました。

 日本へは、米国から二〇〇七年に、ナチュラルチーズが六千四百十八トン、ホエイ(食用乳清)五百三十四トン、プロセスチーズ四百十六トン、乳糖四万五千五百六十五トンが輸入されています。

 国内では、昨年十一月に神奈川県内でヨーネ病の疑陽性の感染牛がみつかった際、流通していた牛乳の回収を行いました。厚生労働省は食品衛生法にもとづいてヨーネ病に感染した牛の食肉と乳製品の流通を禁止してきました。しかし、米国からの輸入乳製品は、ヨーネ病に汚染されているかどうかのチェックは行われていません。


解説

検査なし輸入 規制必要

 今回明らかになった米国酪農農場のヨーネ病高率汚染の実態は、輸入乳製品の問題にとどまらず、米国産牛肉の「ヨーネ菌」汚染のおそれも露呈したといえるでしょう。

 輸入乳製品のヨーネ菌汚染の問題は、日本共産党の紙智子参院議員が五月十三日の参院農林水産委員会でもとりあげ、ノーチェックで米国から輸入される乳製品にも国内同様の規制を求めていました。

 厚生労働省の藤崎清道食品安全部長は「情報収集を継続して行いながら、当該国におけるリスクを総合的に判断をして必要な措置をとっていきたい」と答えていました。

 ヨーネ病に感染した牛の食肉や乳製品の流通が食品衛生法で禁止されている理由について、牛のヨーネ病と人の難病「クローン病」(慢性下痢症)の関連が指摘されているため「人への影響が懸念されるので、流通を禁止している」と説明してきました。今回の汚染実態は、政府に米国産牛肉と乳製品について新たな対策を迫るものといえます。(宇野龍彦)


 ヨーネ病 長い潜伏期間のあとで慢性下痢症をおこし、死にいたる牛など家畜の病気。病原菌「ヨーネ菌」は結核菌の仲間で、人の難病「クローン病」との関連が疑われています。


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