2008年6月24日(火)「しんぶん赤旗」
英兵 アフガン死者100人超
“朝鮮戦争以来の激戦”
衝撃と批判広がる
【ロンドン=岡崎衆史】英国では、イラク派兵と異なりアフガニスタン派兵については、「復興のため」として容認する声が少なくありませんでした。しかし、英兵死者が百人を超え、初めて女性の死者も出たことから、“朝鮮戦争以来の激戦”といった衝撃と批判の声が広がっています。
女性兵士死亡
今月八日、二〇〇一年十月の米英軍のアフガン侵攻以来の英兵死者が百人を突破しました。兵士死者は、米軍に次いで多い百六人(二十二日現在)。十七日には英軍が管轄するヘルマンド州の州都ラシュカルガーで車が爆破され、女性を含む兵士四人が死亡。アフガンでの英軍の女性兵士の死亡は初めてでした。メディアは相次いで、死亡した女性兵士のサラ・ブライアントさんの追悼を特集しました。
兵士の死者が百人を突破した後、BBCはインターネット上に討論用のページを立ち上げ、アフガン派兵の是非を問いました。
討論呼びかけ理由はこうです。「二年前アフガンに軍を送るとき、閣僚らは復興作業が主な目的だといった。しかし、兵士が巻き込まれているのは、朝鮮戦争以来の激しい戦闘だ」
書き込み殺到
ホームページにはわずか二日間で二千百十五の書き込みが殺到。ケンブリッジ在住のアン・キースさんの「ゲリラ戦争で占領軍は勝利できないと歴史は教えている。軍を撤兵させるべきだ」とのコメントに百七十八人が賛同するなど、最も賛同を集めているコメントの多くが派兵反対です。
保守系紙サンデー・タイムズ二十二日付では、著名なジャーナリストのサイモン・ジェンキンス氏が「アフガン遠征は敗北よりも悪い。どんな政府も抜け出すことができない長期の低強度戦争だ」と批判しました。
募るいら立ち
一方、英政府はアフガン派兵を「国益」(ブラウン首相)とし、十六日には、現在七千八百人の駐留英軍を来年春までに八千三十人に増やすと発表しました。
しかし、閣僚の発言からは、増え続ける英兵死者数へのいら立ちがうかがえます。
デズ・ブラウン国防相は二十日、“激戦地の英米など一部の国の兵士だけが犠牲になっているのではないか”とのいら立ちを、アフガン国際治安支援部隊(ISAF)を率いる北大西洋条約機構(NATO)と同盟国に向けました。
ブラウン国防相は「NATOの利用しやすさを高める考えは、一部の同盟国で歓迎されていないと感じる時がある」と発言。ドイツなどの欧州同盟国がアフガンの激戦地への展開を拒否していることや、アフガン派兵など域外紛争関与に反対する声がNATO加盟国内に根強いことを批判し、NATOの「長期的な存在可能性」に疑問を呈しました。
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