2008年6月26日(木)「しんぶん赤旗」

登録型派遣の規制を

政府「日雇い禁止」言い出したが…


 福田康夫首相は二十三日の記者会見で、「日雇い派遣問題など、派遣労働者を守る制度が空洞化することがないよう法改正を含め対策を講じていく」とのべました。すでに舛添要一厚生労働相、町村信孝官房長官も、日雇い派遣の原則禁止の方向を打ち出し、秋の臨時国会を視野に「法律の形で対応したい」などとのべています。

非人間的な労働

 労働者派遣法改正を求める野党四党は、二十一日に閉会した通常国会中に、それぞれ改正案の骨子や法案要綱を出し、日雇い派遣については禁止で一致しています。

 日雇い派遣は“究極の不安定雇用”です。派遣会社に登録し、仕事があるときにだけメールで連絡を受け、一日単位で派遣会社と雇用契約を結びます。次の日に仕事があるかどうか分からず、日ごとに、違う場所で違う仕事につきます。一日限りの“使い捨ての消耗品”扱いされる非人間的な働き方であり、禁止は当然です。

 労働者自身の運動と日本共産党の志位和夫委員長らの国会論戦で、日雇い派遣の過酷な実態が広く明らかになりました。そうした働かせ方に批判が高まり、政府も、日雇い派遣禁止を口にせざるをえなくなったのです。

 しかし、具体的にどのように禁止するのかは、はっきりしません。厚労省の担当者は「大臣の発言は発言としてあるが、現在、労働者派遣制度のあり方に関する研究会で検討中であり、すぐに大臣発言どおりに決まるかというと、そういうものではない」といいます。

 厚労省は、「日雇派遣指針」で、「日々または三十日以内の期間を定めて雇用されるもの」を日雇い派遣労働者としています。

 日雇い派遣を禁止する一つの方法は、「三十日以内の雇用契約禁止」など、契約期間を規制することです。民主党の改正案の要綱はこのタイプで、「二カ月以下の期間の定めのある雇用契約」を禁止するとしています。

 しかし、仮に「三十日以内の雇用契約」を禁止しても、三十一日なら認められます。しかも、契約期間の途中で、「もうこなくていい」などと契約を打ち切られる例が、頻発しているのが現状です。契約期間の規制だけでは、不安定な細切れ雇用の抜本的解決にはなりません。

 首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は「日雇い派遣禁止は当然だが、それでお茶をにごすのでは困る」と政府の姿勢を注視します。

背景に「自由化」

 そもそも日雇い派遣が広がったのは、一九九九年に派遣対象業務が原則自由化されたうえ、二〇〇三年に製造業務にまで拡大されたのが要因です。日雇い派遣をなくすためには、これを元に戻すことが必要です。

 日本共産党は派遣労働を、あくまで一時的・臨時的な業務に制限し、常用型(派遣先の有無にかかわらず派遣会社に雇用されている)を基本とすることを主張しています。仕事のあるときだけ派遣会社に雇われる登録型派遣は、例外として特に厳しく制限することが求められます。(西沢亨子)



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