2008年6月30日(月)「しんぶん赤旗」
論戦貫いた156日間
日本共産党と第169通常国会(6)
道路特定財源
6長大橋建設見直し
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「道路だけに使途を限定する特定財源を廃止…生活者財源へと転換する」
福田康夫首相が二十三日の記者会見で、こう表明したように、政府は今国会で方針の大転換を余儀なくされました。一方、特定財源を十年間延長する法案の成立を強行するなど矛盾に満ちた態度もとっています。しかし、論戦と世論が首相をここまで追い込んだのです。
国会閉会をうけ地方各紙も、「野党の追及が、道路特定財源の一般財源化や道路中期計画の見直しを引き出した」(「熊本日日新聞」二十一日付)などと論評しました。日本共産党はどう挑んだのか――。
計画撤回求め
道路特定財源をめぐる核心は、十年間で五十九兆円を注ぎ込む「道路中期計画」という“総額先にありき”の仕組みにあります。日本共産党は、この中期計画の白紙撤回を一貫して求めてきた唯一の政党です。
穀田恵二議員は、中期計画がバブル期に計画された一万四千キロの高速道路網や七千キロの地域高規格道路を張り巡らすことを前提にしていることを最初に暴露(二月十二日の衆院予算委)。仁比聡平議員は、総額五十九兆円の積算根拠も極めてあいまいなことを明らかにしました(二月一日の参院予算委)。
同時に、際限ない道路建設をやめさせる重要な成果も生まれています。
東京湾口道路など全国を六つの長大橋で結ぶ海峡横断道路プロジェクト。道路特定財源が際限ない道路建設に道を開く典型でした。
この問題での穀田議員や笠井亮議員らの度重なる追及で、当初、「夢のある話」などと開き直っていた政府も計画の変更を余儀なくされました。
三月七日には、調査の委託先であった「海洋架橋・橋梁調査会」を二〇〇九年度に解散することを決定。六月二十日には、冬柴鉄三国交相が同プロジェクト推進を盛り込んだ「国土形成計画」の文言修正を報告し、首相が了承。ついに政府は、建設促進の路線を見直さざるを得なくなったのです。
臨時国会でも
一九七〇年代から道路特定財源の一般財源化を主張してきた日本共産党の論戦の力は、民主党の立場と比べるとよりはっきりします。
同党は、道路特定財源の不明瞭(ふめいりょう)な使途をただしましたが、「必要な道路はつくる」(岡田克也副代表、二月二十八日の衆院予算委)と強調し、総額先にありきの中期計画そのものを認める立場は最後まで変えませんでした。
冒頭の首相表明にもかかわらず現在、政府・与党内では、道路特定財源の「一般財源化」をめぐって対立がつづいており、論戦は秋の臨時国会につづく課題となっています。(つづく)