2008年7月2日(水)「しんぶん赤旗」
論戦貫いた156日間
日本共産党と第169通常国会(8)
医師不足
命軽視の政治と対決
勤務医が過労自殺に追い込まれ、急患は受け入れ先が見つからない――日本共産党は今国会で、医師不足や診療報酬引き下げで起きている生々しい実態を突き付け、医療費抑制政策の転換を求めました。
手を打たねば
「いま手を打たなければ完全に医療が崩壊する。実態に合った目標を示して対策をとるべきだ」
二月二十六日の衆院予算委員会。日本共産党の高橋千鶴子議員は正面からただしました。
医師不足の最大の原因は、医学部の定員削減を定めた一九九七年の閣議決定です。
高橋氏は、勤務医の病院滞在時間が二十代男性では週平均七十五時間に及ぶと指摘。75%の勤務医が「やめたいと考えたことがある」と回答した日本病院会の調査を示し、対策を迫りました。
高橋 医師不足を認めるのであれば、閣議決定を撤回すべきだ。
舛添要一厚労相 状況に応じて新しい対策を立てていく。医師不足の問題に全面的に取り組む。
政府はそれまで、「いま医者を増やしたら、十年後には余って医者のホームレスが生まれる」(舛添厚労相、一月十九日)とまでいって、医師不足を否定してきました。しかし、六月十七日には医師不足を認め、閣議決定の見直しを表明。二十七日に決定した「骨太方針2008」では、大学の医学部定員を「早急に過去最大程度まで増員」するとしました。
日本共産党は二〇〇七年二月に、「深刻な医師不足を打開し、『医療崩壊』から地域をまもる日本共産党の提案」を発表。国会論戦とともに地域で粘り強く住民と運動を広げ、政府の姿勢を変えさせたのです。
診療報酬問う
山下芳生議員は、急患の受け入れ先が見つからない原因が、診療報酬の引き下げにあることを明らかにしました(参院予算委、二月四日)。
政府が、〇二年度から三度にわたり診療報酬引き下げを強行した結果、もともと不採算部門だった救急医療から撤退する病院が相次いだのです。
山下氏は、わずか二年で二次救急病院が百七十四カ所も減ったとし、「救えたかもしれない命を救えなかったという事態を繰り返さないため、根本問題にメスを」と訴えました。
舛添厚労相は「救急医療にいかなくてもいい人までそっちにいく」と患者に責任転嫁する一方、診療報酬については「引き上げという形で対応する」と約束しました。
山下氏は、「救急医療の現場は、一人でも多くの命を救いたいと二十四時間、三百六十五日、一生懸命頑張っている。いま頑張らなければならないのは政治だ」と重ねて求めました。
質問終了直後、九州で救急隊員をしているという男性から電話が――。「質問通りの現状。よくそこまで言ってくれた」(おわり)
(この連載は、佐久間亮、佐藤高志、田中一郎、林信誠、松田繁郎が担当しました)