2008年7月3日(木)「しんぶん赤旗」
南米首脳が投機批判
「原油・穀物高騰の原因」
共同市場会議
【メキシコ市=島田峰隆】南米アルゼンチン北部トゥクマンで一日開かれた第三十五回南部共同市場(メルコスル)首脳会議で、原油や穀物の価格高騰の原因として無秩序な投機に厳しい批判が相次ぎました。同会議には加盟・準加盟の十カ国から大統領や政府代表が出席しました。
議長国アルゼンチンのフェルナンデス大統領は開幕演説で、「食料危機を招いているのはカジノ経済であり、投機の経済だ」と指摘。かつて投機の引き起こす弊害は経済全体に及んでいたのに、「いまではパン、食肉、ミルクの価格高騰のために生身の人間が代償を払っている」と述べ、人々の生存にしわ寄せされていると糾弾しました。
ブラジルのルラ大統領は、食料価格の異常な高騰の背景には「投機の価格が現在の価格を決めている」ことがあり、「極めて深刻だ」と強調しました。中南米諸国への影響を抑えるために、「投機問題に注意を払い、議論する必要がある」と語りました。
ボリビアのモラレス大統領は「食料を投機対象にしている集団がいるが、食事は人権であることを彼らは理解しなければならない」と述べました。
アルゼンチン国営通信は「議論では、金融投機に対する懸念表明が集中した」と伝えました。
南部共同市場(メルコスル) 関税同盟として1995年に発足。現加盟国はアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、ブラジル、ベネズエラ。準加盟国はチリ、ボリビア(正式加盟を表明)、ペルー、コロンビア、エクアドル。米国がすすめる米州自由貿易地域(FTAA)構想への反発が強まる中、エネルギー網の構築や社会分野の協力を含め、南米で地域統合の核として位置づけられるようになっています。