2008年7月3日(木)「しんぶん赤旗」
IMF報告
食料・燃料高騰 世界を直撃
途上国の栄養不良 40%超す恐れ
【ワシントン=西村央】国際通貨基金(IMF)は一日、食料と燃料価格の急騰が途上国や新興国に、栄養失調など深刻な影響を与えているとする報告書を発表しました。
報告では、食料・燃料価格の高騰は全世界に及ぶと指摘。発達した諸国では国民が生活水準を落とすことを余儀なくされ、政府や中央銀行が経済の成長を支えるのはいっそう難しくなるとしています。新興国、なかでも低所得の国々では経済への影響はより深刻になると警告しています。
貧困国では、食料の輸入依存の割合が高いため食料高騰が家計を直撃しており、食費の占める割合が50%を超えるのが普通になっているとしています。さらに、途上国全体で栄養不良の割合が急増し、全人口の40%を超えるおそれがあると指摘しています。
発達した諸国を除いた百二十カ国の物価は、食料品価格の上昇率が今年三月までで年12%上昇、燃料価格も9%上がったとしています。今年に入ってからのインフレ率(年率換算)では、エチオピア13・9%、ベトナム12・6%などとなっています。
報告は各国政府と中央銀行に適切な金融政策を要請。「物価全般の上昇を避けなければならない」とインフレを警戒するよう訴えています。
同報告は、今年三月のIMF会合で食料高騰が論議されたことを受けて出されました。報告発表にあたって、ストラスカーンIMF専務理事は「食料価格がさらに上昇し、燃料価格が現在の(高い)水準で推移するなら、国民への食料供給ができなくなり、経済全体が不安定となる国も出てくる」と危機感を表明。国際社会の援助と加盟国の協力を呼びかけました。