2008年7月7日(月)「しんぶん赤旗」
温室ガス削減
中期目標きちんと示せ
TVで小池氏 サミット議長国の責任
日本共産党の小池晃政策委員長は六日、鴨下一郎環境相、各党代表を交えたNHK「日曜討論」に出席し、温暖化対策が焦点となる北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)で、議長国・日本が世界をリードする議論をするには、温室効果ガス削減の中長期の数値目標をきちんと示すことが必要だと強調しました。(2面に関連記事)
サミットに向けて福田康夫首相が示した温暖化対策―「福田ビジョン」が二〇二〇年までの中期目標を示さなかったことが議論となり、鴨下環境相は「国益とのバランスがある」、自民党の野田毅衆院議員は「日本が強力な目標を出すとアメリカがアレルギーをおこすかもしれない」と発言。
これに対し小池氏は、「駆け引きでやるようなことではない。世界全体の利益にたってものをいうべきだ。アメリカの顔色をうかがって中期目標を示さないのでは、世界の議論をすすめていく障害になる」と指摘しました。
福田首相が中期削減目標として「〇五年比14%削減」の試算値を持ち出していることについて、小池氏は「(京都議定書の)一九九〇年という基準年をなぜ変えるのか。日本が温室効果ガスを九〇年比で(〇五年に)8%近く増やしたから都合が悪くなって、変えるのは世界の理解を得られない。日本がみずから決めた約束を投げ捨て、中期目標も示さない―これでは国際的議論をまとめることはできないし、サミットで日本の責任を果たせない」と述べました。
さらに、大量の温室効果ガスを排出してきた先進国には、みずから率先して削減する、途上国を支援するという二重の責任があると指摘。「日本が中期目標を持ち、アメリカにも目標を持つように迫るべきだ。そうしてこそ中国なども含めた枠組みがつくられていく」と述べました。
経済界と協定を
小池氏 排出量取引が必要
日本共産党の小池晃政策委員長は、六日のNHK「日曜討論」で、温室効果ガス削減へ、政府と経済界との間で拘束力のある協定を結び、排出量取引制度を実施するべきだと主張しました。
公明党の斉藤鉄夫政調会長らが「(企業の)自主性を尊重したい」と発言。小池氏は、「日本経団連の『自主行動計画』に委ねて、日本は(CO2を)増やしてきた。全体の八割は産業界が排出している。しかも、大口の特定排出者である製鉄所、火力発電所など二百二十事業所で全体の五割を占めている。こういうところに拘束力のある削減の協定を結ばせて、それを実現するための手段とし排出量取引制度をつくることが必要だ」と主張しました。
そのうえで小池氏は、「(与党は)日本は削減へ努力しているような話をするが、産業部門での石炭使用量は九〇年と比べてマイナス18%だ。イギリスはマイナス69%、ドイツはマイナス65%だ。まったく努力の中身が違う」と指摘。「国際競争力といえば、なんでも(言い分が)通るかのような日本経団連の考え方は、世界では時代遅れの議論だ。排出量を抑えていく新技術開発こそ経済発展の原動力であり、新たな産業革命という議論も起こっている」と批判しました。
最後に小池氏は、日本が国際的責任を果たすためには三つの転換(1)先送りせず中期目標を明確にする(2)最大の排出源である産業界の削減を実現させる仕組みをつくる(3)目標をもって自然エネルギーの開発・利用にとりくむ―が必要だと強調。
このなかで原子力発電について「原発は、もっとも不安定で、事故や廃棄物など、最悪の環境破壊の危険もある。化石エネルギー偏重、原発頼みではなくて、自然エネルギーの強化にしっかり踏み出すべきだ」と述べました。
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