2008年7月10日(木)「しんぶん赤旗」
洞爺湖サミット閉幕
温暖化 食料 投機マネー
先進国の責任果たさず
地球温暖化、食料・原油高騰などを議題とした北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)は九日、「サミット首脳宣言」と「議長総括」を採択して三日間の日程を終えました。両文書は、(1)世界経済(2)環境・気候変動(3)開発・アフリカ(4)政治問題―の四つの柱でまとめられました。
議長を務めた福田康夫首相は記者会見で、「地球温暖化、原油・食料価格の高騰、金融市場の問題が人々の生活に影響を与えるなかで開かれた今回のサミットは、きわめて重要だった」と指摘。これらの問題で「多くの成果を生み出せた」と誇りました。
しかし、いずれの問題でもサミットに参加する主要八カ国(G8)の責任をあいまいにして、多くの課題が残されたままとなりました。
地球温暖化の原因である温室効果ガスの排出量削減では、十六カ国の首脳が参加した主要排出国会議(MEM)で、中国、インドなど新興国から先進国の「歴史的責任」を指摘され、排出量削減の中・長期目標ともに合意に至りませんでした。
これについて首相は、「中国、インド等とも長期目標を共有し、国連交渉で採択されるよう主導性を発揮したい」と述べるにとどまりました。
首相はまた、原油や食料の価格高騰についての議論にふれ、原油市場の「透明性の向上」の重要性をG8で確認したとしました。しかし、G8として、食やエネルギーを脅かす投機マネーの暴走への有効な規制策は打ち出されませんでした。
各国で懸念が強まっているジンバブエ情勢について首相は会見で、「今後国連で議論される。国連安保理で合意されれば制裁も含む」との認識を示しました。
今回のサミットにはG8を含む二十二カ国の首脳と国連をはじめ六つの国際機関の長が参加し、最大規模となりました。
次回のサミットは二〇〇九年にイタリアで開催されます。
市田書記局長が談話
日本共産党の市田忠義書記局長は九日、北海道洞爺湖サミットについて次の談話を発表しました。
洞爺湖サミットでは、地球温室効果ガスの排出量削減、投機マネー暴走によるエネルギー・穀物価格の異常高騰の抑制という人類の生存にかかわる重大問題について主要先進国がどう対処するかが問われていたが、どの課題についても、先進国としての責任をはたせない結果となった。
地球温暖化問題については、緊急性を要する中期目標はもとより、長期目標についても先進国としての目標を示せず、その歴史的責任をはたす立場をとれなかった。投機マネー問題でも、直接規制など、実効ある対策は何ら打ち出せなかった。
これらの問題で、一貫して消極的立場をとってきたアメリカと、これに追随して議長国としてのイニシアチブをとれなかった日本政府の責任は重大である。
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