2008年7月10日(木)「しんぶん赤旗」
NTT年金
減額、二審も認めず
「経営悪化といえない」
NTTの企業年金減額申請を却下した国の処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が九日、東京高裁(宮崎公男裁判長)でありました。判決は、NTTグループ六十七社の訴えを退けた昨年十月の一審東京地裁判決を支持し、NTT側の控訴を棄却しました。
NTTグループは、十四万人に支給されている企業年金について、経営悪化を理由に減額を厚生労働省に申請。同省が却下したことからNTT側が却下取り消しを求め、二〇〇六年五月に提訴しました。
NTT側は確定給付企業年金法の解釈と経営の悪化を理由に減額の妥当性を主張。宮崎裁判長は、「減額もやむを得ないというほどに経営の状況が悪化したとは認めがたい」と、NTT側の主張を退けました。
また、NTT東日本と同西日本が〇四年と〇五年に約六百億円もの株主配当を実施した点を指摘。NTTの姿勢について「つまるところ、計上された利益を配当に当てることを優先すべきであるという主張」と批判。「減額がやむをえないとの要件は満たさない」とNTT側の主張を退けました。
当事者として同訴訟への参加を申し立て、認められたNTT企業年金の受給者五百十七人でつくる「NTTグループの企業年金改悪反対全国連絡会」と「NTT企業年金裁判訴訟参加弁護団」は同日、東京都内の弁護士会館で報告集会を開き、百人余が参加。小部正治弁護士は「日本で二番目に巨額の利益を上げる黒字企業に“年金改悪をする理由はありませんよ”と言い切った判決だ。確定給付企業年金法を純粋に解釈し、NTTのわがままな主張を退けることができた」と判決を評価しました。
訴訟参加者の島村孜朗(しろう)さん(69)は「NTT在職時は職場差別の連続だったが、今回の勝利でそれを覆すことができた。今も働く仲間のためにも、がんばっていきたい」と決意を表明。企業年金の減額に反対してたたかう松下電器やKDDI、りそな銀行の退職者らが発言しました。
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