2008年7月10日(木)「しんぶん赤旗」
日米安保戦略会議とは?
〈問い〉日米安保戦略会議とはどんな組織ですか?(東京・一読者)
〈答え〉日米軍需企業と国防族議員の「利権の接点」と言われる社団法人「日米平和・文化交流協会」を中心に、同協会と一体化している「安全保障議員協議会」、米国の右派シンクタンク「ヘリテージ財団」などの共催で2003年から開かれている会議です。
同会議には自民・民主・公明各党の国防族議員や米政府・米軍高官、日米の軍需企業幹部らがパネリストとして出席。日米同盟の強化や「ミサイル防衛」(MD)などをテーマに、日本政府に対して最新兵器の導入や「武器輸出三原則」見直し、集団的自衛権の行使、海外派兵の拡大を迫る内容となっています。
会場にはミサイルや戦闘機などの模型を展示するブースが設けられ、参加者に兵器類のパンフレットを配布するなど、さながら「兵器見本市」の様相です。
同会議は03年5月にワシントンで第1回会議が開かれて以来、5月にワシントン、11月に東京で毎年開かれてきました。昨年11月で10回目を数えています。
しかし、今年5月の第11回会議は中止となりました。日米平和・文化交流協会は、「国会(日程)の都合上、11月に順延になった」と説明していますが、昨年秋に表明化した同交流協会の軍需利権疑惑が影響したとみられています。
この間、ワシントンでの同戦略会議に参加した国会議員の派遣経費の一部に、国際交流基金(外務省の外郭団体)からの補助金が流用されていた疑惑や、国防族と三菱グループなど軍需産業の癒着などが明らかにされました。日本共産党の大門実紀史参院議員らが追及したものです。
さらに昨年11月、守屋武昌前防衛次官(公判中)と軍事商社・山田洋行との贈収賄事件に関連して東京地検特捜部が強制捜査に入る事態に発展。同交流協会の常勤理事で、日米軍需利権のフィクサーと言われる秋山直紀氏が今年1月、参院に参考人招致されました。
イメージ悪化や疑惑追及を逃れるため、昨年秋から今年にかけ、同交流協会の理事だった国防族議員や軍需企業幹部が次々に離脱しました。
しかし、同交流協会の「平成20年度事業計画書」には、「(今年)11月6、7日に第11回日米安全保障戦略会議を米国の有識者を招請して開催する」と明記。秋山氏らは、軍需利権の「接点」を確保しようと躍起になっています。
(岳)
〔2008・7・10(木)〕