2008年7月13日(日)「しんぶん赤旗」
平和と生存権 重ねて
九条の会主催セミナー講演 大江・暉峻・湯浅氏
宮崎
九条の会が主催する第六回憲法セミナー「人間らしく生きる―憲法第9条と25条」が十二日、宮崎市内で開催されました。同会の呼びかけ人の一人で作家・大江健三郎氏ら三人が講演。「貧困と格差」の拡大が重大な社会問題になるなか、今回は九条と二五条(生存権)とあわせ取り上げられました。セミナーが九州で開かれたのは初めて。各県から参加した約千六百人が熱心に聞き入りました。
大江氏は、障害をもつ子を育てるなかで二五条や九条、すべての個人が尊重される一三条など新しい憲法に励まされ「憲法において生かされてきた」とのべました。沖縄戦や広島・長崎にふれながら「歴史に学び、歴史を通じて出来上がった鉄則をまもる―それが人間らしさだと思う」と恒久平和の維持を強調しました。
NPO法人自立生活サポートセンター・もやいの湯浅誠事務局長は、貧困と戦争は切り離すことはできないと述べ、九条と二五条をセットで考える重要性を指摘しました。
埼玉大学名誉教授の暉峻淑子氏は、勝ち組負け組を生みだす「競争社会」と戦争とを対比、「勝つことが至上命題。ひとたび落ちこぼれると『将来はホームレス…』。こんな無情な社会でいいのか」と問いかけました。
参加した福祉関係の専門学校で学ぶ女性(19)は「九条で戦争の話ばかりかと思っていたが、福祉に関係ある話もあり、憲法が身近なものに思えてきた」と話しました。
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