2008年7月16日(水)「しんぶん赤旗」

防衛省改革会議報告書

文民統制見直し 官邸強化

海外派兵型組織に


 政府の防衛省改革会議(座長・南直哉東京電力顧問)は十五日、首相官邸で会合を開き、福田康夫首相に報告書を提出しました。防衛庁の省移行により海外派兵が自衛隊の本来任務(主要任務)になったことを挙げ、「官邸の司令塔機能の強化」とともに、制服組(自衛官)と背広組(文官)の一体化を促進する組織改革を打ち出しました。

 政府は報告書を踏まえ、来年一月召集の次期通常国会にも、防衛省設置法改定案などを提出する構えです。

 報告書は、地域紛争やテロを口実に、「自衛隊が多機能・弾力的・実効的に行動しなければならない時代」だとして、官邸と防衛省の「二つの焦点」で「機能強化」を提起。官邸機能では、官房長官、外相、防衛相の「三大臣会合」などを求めています。

 防衛省については、かつての戦争の反省と現憲法のもとで政府が「自衛隊の暴走を抑止する」ための仕組みと説明してきた文民統制(シビリアン・コントロール)を、二十一世紀の「安全保障上の任務を達成する」ものに改革すべきだと提起。▽防衛省の文官組織(内局)の中枢=防衛政策局の局次長以下に自衛官を組み入れる▽作戦運用を統合幕僚長へ一元化する―などを提言しました。

 昨年十二月に防衛省改革会議が発足したのは、前防衛事務次官の守屋武昌被告にまつわる防衛省汚職など数々の不祥事が発覚し、国民の怒りが広がったためです。しかし報告書は「規則順守の徹底」などを提言するだけ。軍需企業への天下りなどの政軍財の癒着構造にはメスを入れていません。

 イージス艦「あたご」の漁船衝突・沈没事故にあらわれた軍艦優先体質には全く言及がありません。


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