2008年7月18日(金)「しんぶん赤旗」
「日の丸・君が代」
都の強制は非教育的
処分取り消し訴訟 教育学者が証言
東京都教育委員会の「日の丸・君が代」強制に従わなかったことを理由に処分された都立学校教職員百七十三人が、処分取り消しなどを求めた裁判の第七回口頭弁論が十七日、東京地裁(中西茂裁判長)で開かれました。教育学者二人が証言に立ち、都教委の強制が教育の自由と子どもの学習権を侵害していると指摘しました。
証言したのは障害児教育が専門の茂木俊彦桜美林大学教授と、教育課程論が専門の梅原利夫和光大学教授。
茂木教授は「日の丸・君が代」について知的障害を持つ子どもたちにそれを押しつけることの非教育性を指摘。従来のフロア形式や対面式の卒業式が障害を持つ子どもたちにとって重要な意味を持っていたことを示すとともに、それをやめさせて壇上での卒業証書授与を画一的に強制した都教委の通達は問題だとのべました。
また、「日の丸」に向かって起立し「君が代」を斉唱することをすべての教師に強制することは、医療的なケアが必要な障害児に緊急事態が起きた場合の対応をとれなくすると指摘しました。
梅原教授は、教育における指導とは子どもが自分の力で学習できるようにたえず働きかけることであり、強制とは違うと強調。教師は子どもの学習権を保障するためにも臨機応変に指導をする自由が必要だと語りました。
「君が代」斉唱を「指導するものとする」としている学習指導要領は大綱的な基準であり、こまごまとした内容まで権力的に規定するべきではないとし、都教委の通達は学校にとって必要な信頼関係を断ち切るもので、「教育の自殺行為だ」とのべました。
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