2008年7月22日(火)「しんぶん赤旗」
年金
国庫負担上げ先送り
与党内で強まる 消費税増税狙い
基礎年金の国庫負担割合を二〇〇九年度までに二分の一に引き上げる問題をめぐり、与党内から実施時期を先送りする発言が続いています。
自民党の野田毅衆院議員は二十日のNHK番組で、「(年度の)頭から満額というのは大変難しい」と発言。谷垣禎一政調会長も「硬直的に考える必要はない。半年程度ずらすとか柔軟性も必要」(「毎日」五日付)、伊吹文明幹事長は「〇九年度と法律にあるから、どの時点でスタートするか、予算編成のなかで議論しなければならない」(六月二十四日の記者会見)といいます。
国庫負担割合を二分の一に引き上げるには、およそ二兆三千億円が必要です。年度途中からの引き上げは、自民党の園田博之政調会長代理が「国の負担分を来年度なるべく減らすためになるべく後ろにすることはある」(「日経」十一日付)と語るように、来年度の国庫負担を低く抑えるとともに、背景には「(年金財源は)消費税とセットの議論」(野田氏)という考えがあります。
昨年の臨時国会でも、伊吹氏が「基礎年金の財源は、消費税で賄うのが穏当」といえば、谷垣氏も「やはり消費税でやるしかない」と呼応。
園田氏も六月時点では、国庫負担割合を引き上げるため「〇九年十月からでも消費税10%に移行したい」(「毎日」十九日付)と語っています。
来年九月の衆院任期切れをにらみ、消費税引き上げは総選挙が終わってからという狙いです。
国庫負担割合の引き上げを決めた二〇〇四年の年金制度改悪(「百年安心の年金」)は、財源について定率減税の廃止と年金課税の見直し分を充てるとし、これによって国税分だけで二兆八千億円もの増収=国民負担増となっています。
このうち、年金財源として充てられたのは六千八百億円にすぎません。
消費税と年金財源をセットで論じる与党の態度は、「現役世代の50%以上」としていた年金給付も、「負担に明確な上限」としていた保険料も、消費税率を上げなければ実現しないというもの。国民の老後を盾に取って、増税を押し付けようという魂胆です。
■関連キーワード