2008年7月23日(水)「しんぶん赤旗」
イラク米軍
知事家族を「虐殺」
サラハディン州当局 調査と処罰要求
解決まで協力拒否も指示
【カイロ=松本眞志】イラク警察は二十日、首都バグダッド北方のサラハディン州で実施された米軍の軍事作戦で同州知事の家族と親族五人が死傷したとし、州が米軍側に対して虐殺事件の調査を求めていると報告しました。
汎アラブ紙アルハヤトによると、事件が起きたのはサラハディン州の都市バイジ付近のアルシャット村。クアイシ州知事の十七歳の息子と親族一人が死亡し、ほかに親族三人が負傷しました。
同知事は、滞在中のトルコから事件の調査と事件に関与した米軍兵士の処罰を要求し、問題解決までの抗議の意思表示として、州の職員にすべての職務の停止と米軍への協力拒否を呼びかけました。
イラク警察は、米軍が知事の自宅を襲撃して眠っていた住民に発砲して死傷させたと確認。州のムサンナ・モハメド報道官は、攻撃を受けた住民らはテロリストとはなんの関係もないとして、「あらゆる点から見て虐殺行為だ」と主張しました。バイジ市で飲料店を営むユニス・ムルタダさんは、「米軍が虐殺に関与したのは今回が初めてではない」と証言しています。
一方、米軍側は二十日、同州知事と関係をもつ武装メンバーを殺害したと発表。事件についてイラク側と異なる見解を示しました。
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