2008年7月27日(日)「しんぶん赤旗」
国保証の取り上げやめます
自治体が相次ぎ表明
国民健康保険料を支払えない世帯への「ペナルティー」(罰則)である資格証明書の発行をとりやめる自治体が相次いでいます。さいたま市が二月に発行をやめたほか、広島市は五月に発行をゼロにしました。長野県松本市では原則として出さないようにしています。住民の声と結んだ各地の社会保障推進協議会などの運動や日本共産党の議会質問が力になったものです。
さいたま市は二〇〇四年まで資格証明書を発行してきませんでしたが、〇五年の旧岩槻市(現岩槻区)との合併を契機に、同市分のみ発行していました。しかし、「保険料収納の効果が上がらない」として二月末で発行をやめました。
広島市は約八千世帯に資格証明書を発行してきましたが、「国保をよくする会」との交渉のなかで、「悪質滞納者だけに限定して発行する」と表明。五月末時点で発行をゼロにしました。
松本市では、滞納者全員に面談をして、面会できた世帯の発行は中止しました。六月末現在で、面会できていない四件分を残すだけとなっています。
このほか千葉県習志野市や東京都板橋区では、昨年から中学生以下の子どもへの資格証明書発行をやめました。宮城県石巻市では就学前の子どもと七十―七十四歳の高齢者には発行していません。
資格証明書 国保料を滞納している世帯から保険証を取り上げたことと引き換えに発行されています。一九九七年の国保法改悪で、国は自治体に発行を義務づけました。資格証明書は、医療機関の窓口でいったん医療費全額(十割負担)を支払わなくてはなりません。このため受診抑制や治療中断などが起き、深刻な問題となっています。
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