2008年8月2日(土)「しんぶん赤旗」
医療費助成「うれしい」
東京で新制度 ぜんそく患者対象
昨年八月の東京大気汚染公害訴訟の和解に基づき東京都が創設したぜんそく患者の医療費助成制度が一日、始まりました。被告の国や都、ディーゼル自動車メーカー七社、首都高速道路会社が財源を拠出した自己負担なしの制度で都内に一年以上住む十八歳以上のぜんそく患者が対象です。
北区の女性(65)は都に申請し医療券を受け取りました。ぜんそくを発症したのは一九八四年ごろ。冬でもないのにせきが続き「ぜんそくの娘の症状と違うし、まさか健康な自分がぜんそくになるはずがない」と思いましたが二年後、出勤のため家を出た直後に激しい発作に襲われました。
女性は、娘のぜんそくを治すため家を徹底的に掃除し空気清浄機を置いてもよくならず悩んでいましたが、ディーゼル車の排ガス汚染が原因だと聞き、衝撃を受けました。
公害病認定(八八年に新規認定打ち切り)を受けられなかったため医療費の負担が重く、退職金を取り崩してきました。「ぜんそく治療だけでなく、薬の副作用の病気や病院への交通費で負担が大変でした。働けずお金がない人も受けられる医療費助成は本当にうれしい」と話しました。
医療費助成の申請は七月二十八日現在で約一万二千人。制度創設時に見込んだ対象者七万七千人の約16%にとどまります。東京公害患者と家族の会(西順司会長)は都内の患者数を約二十万人と推計し、都に制度の周知徹底を求めています。同会が一日に始めた電話相談(03・5840・8446)にも問い合わせが続いています。
■関連キーワード