2008年8月6日(水)「しんぶん赤旗」

反核の声をあげる「元米高官、政府首脳」とは?


 〈問い〉 日本共産党の第6回中央委員会総会への志位委員長報告にある反核の声をあげる元米高官やNATOの政府首脳とは?(神奈川・一読者)

 〈答え〉 米国の国務・国防長官および上院議員の経験者4氏が今年1月、経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」に「核兵器のない世界にむけて」と題した共同論文を寄稿、「核兵器のない世界という目標を諸国家間の実際的な事業にしていくこと」を呼びかけました。

 この4人とは、いずれも米国の核世界戦略を立案、推進してきた、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官、ジョージ・シュルツ元国務長官、ウィリアム・ペリー元国防長官、サム・ナン元上院軍事委員長です。彼らは、2007年1月にも、同紙に「核兵器のない世界」と題した論文を発表しています。

 今年は、前年の論文でよびかけた「核兵器への依存を減らす地球規模の取り組み」に、内外から多くの支持が寄せられたとして、コリン・パウエル、マデレーン・オルブライト両元米国務長官、ウイリアム・コーエン元国防長官、アンソニー・レーク元国家安全保障問題担当大統領補佐官ら、共和・民主を問わず14人の国務・国防長官・大統領補佐官(国家安全保障担当)経験者らの名をあげ、「勇気づけられた」と評価しました。

 論文は、テロリストが核兵器を入手する可能性が広がっていると昨年と同様に警戒感を表明しながら、「抑止力は効果が薄れ、有害性が増している」と核抑止力論を批判。「ゼロへと進むビジョンなくして、悪循環を阻止するのに不可欠な協力を作り上げることはできない」と、世界の核弾頭の95%を保有する米ロの責任、核兵器廃絶の目標にむけた非核保有国も加えた国際的対話の必要を説いています。

 4氏のよびかけには、ロシアのゴルバチョフ元大統領が「核兵器はもはや安全保障を達成する手段でなくなったことが、ますます明白になっている」と支持を寄せ、英国のベケット外相(07年6月当時)が「必要なのは、核兵器のない世界にむけたシナリオ=構想と、弾頭の数を減らし安全保障政策における核兵器の役割を制限する進歩的な措置=行動、の両方である」と発言しました。4氏は、ベケット氏の発言について「英国政府としてよびかけを支持するシグナル」と評しています。

 米国の核世界戦略を推進してきた人たちの中にも、核兵器固執を批判する動きがおこり、そのよびかけへの支持が、米国内だけでなく、ロシア、欧州などにも広がっていることは注目されます。(遠)

〔2008・8・6(水)〕


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