2008年8月16日(土)「しんぶん赤旗」
介護・福祉労働者
賃金20万円未満 43%
慢性疲労状態 61%
仕事辞めたい 55%
労基法違反が常態化
日本医労連(日本医療労働組合連合会)は、全国で六千人をこえる労働者から寄せられた「介護・福祉労働者の労働実態調査」結果をまとめました。事業所の経営難や人員不足のもとで長時間過密労動が広がり、サービスが脅かされている実態が浮かび上がりました。
日本医労連が6800人調査
各職場で労働基準法が守られない状態が常態化しています。
約三分の二の人が、通常業務の準備や片付け、記録などのサービス残業をしていました。休日の施設行事への賃金支払いが「ある」はわずか25・9%。所定の休憩時間が取れない職場もありました。見回り程度で通常業務でないはずの「宿直業務」で、81%がほぼ通常業務に就いていました。
低賃金の実情も浮き彫りになりました。正職員の所定内賃金は、二十万円未満が42・9%を占めました。介護福祉士平均は月十九万四千六百円、ヘルパー(一―三級)平均は十七万五千二百円でした。パートの時給は、八百―九百円未満が29・4%と最も多く、次いで九百―千円未満21・1%、千―千百円未満15・2%の順番でした。
多くの職員が自身の健康に不安を抱えつつ働いています。不安がある、病気がちなどで「健康でない」と答えた人が過半数(51・2%)でした。疲れの具合も、翌日に残る、休日を経ても回復しないなど慢性疲労状態の人が61・3%、腰痛や肩こりを訴えた人が半数を超えました。
人手不足や忙しさから現場では利用者の転倒や転落などの事故が起きています。「利用者に十分なサービスが提供できていない」と答えた人は、42・2%にのぼりました。
こうしたなか、「仕事を辞めたい」と思ったことがある人は、55・3%と半数を超えています。「賃金が安い」「忙しすぎる」などが主な理由です(グラフ)。
仕事を続けていくうえでの最大の不安は、「将来の生活」34%、「健康」32%、「事故を起こす」「現在の生活」の順番でした。
調査対象は四十一都道府県の六千八百十八人、うち八割が女性でした。年齢は三十歳未満、三十代、四十代、五十歳以上がほぼ四分の一ずつでした。正職員が65・5%、フルタイムパートが17・3%、短時間パートが10・1%です。
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介護報酬の引き上げを
日本医労連・田中千恵子委員長の話 介護・福祉労働者の劣悪な労働実態が改めて明らかになりました。介護・福祉サービスを支えるためにも抜本的な対策が求められます。日本医労連は実態調査を基に厚労省に「緊急要求」を提出し交渉を行っていますが、二〇〇九年四月の介護報酬改定では大幅引き上げが必要です。私たちは、国会請願署名を開始しています。十月十九日には「医師・看護師・介護職員を増やせ!地域医療を守れ!10・19中央集会」を開きます。十一月十二日には「医師・看護師・介護職員の大幅増員」をかかげて産業別全国統一ストライキを行います。
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