2008年8月18日(月)「しんぶん赤旗」
共産党4議員 テレビ討論
暮らし守る運動の展望語る
『蟹工船』、党名の意味も
穀田・赤嶺・高橋・吉井議員
日本共産党の穀田恵二国対委員長と赤嶺政賢、高橋ちづ子、吉井英勝の各衆院議員が十六日放送のBSテレビ「BSイレブン」の「本格闘論FACE」で、『蟹工船』ブームから派遣労働、後期高齢者医療制度、物価高などの緊急課題まで、五十分間にわたって話し合いました。
司会役の穀田氏は、日本共産党員作家・小林多喜二著の『蟹工船』が最初に掲載された『戦旗』(一九二九年五月号)を示しながら、「ブーム」の背景に現代の派遣労働という形で苦しめられている若者の憤りがあることを指摘。団結と社会的連帯で立ち向かうことに共鳴し、政治を変えていこうという方向性が生まれているとして、派遣労働の問題から討論をすすめました。
■派遣労働
高橋氏は、党のホームページに設けられた「若者ネット」に、企業によって派遣労働者がモノのように扱われている実態を告発するメールが相次いで寄せられていると述べました。
討論では、今年二月に日本共産党の志位和夫委員長が、キヤノンの各工場の実例を挙げて派遣労働の実態を追及し、六月にはキヤノンの長浜工場を視察調査したことが話題に。キヤノン本社の専務取締役が、偽装請負などの違法行為について、「大いに反省している」「御党の追及や『赤旗』のキャンペーンもあり、正直言って相当懲りております」などと発言し、製造部門での派遣労働の解消を表明したことなどが紹介されました。
各氏は、労働者派遣法を一九九九年の原則自由化以前に戻し、派遣労働者保護法へと変えることなど、秋の臨時国会での取り組みを確認し合いました。
■後期医療
続いて、後期高齢者医療制度が話題に。高橋氏は、「戦争中は、お国のために死になさいといわれ、そしていまはお国のために早く死ねというのか」という怒りが全国から巻き起こっていると述べました。
赤嶺氏は、同医療制度への怒りが沖縄県議選(六月八日投開票)の結果に大きな影響を与え、日本共産党が三議席から五議席へと躍進したことなどを示し、同制度は廃止すべきだという県民の審判がすでに下っていると強調しました。
穀田氏は、二〇〇〇年の健康保険法改悪の際の「付帯決議」に、新たな高齢者医療制度をつくることが盛り込まれたとき、自民、公明、民主、社民の各党はすべて賛成し、反対したのは日本共産党だけだったと指摘しました。
その上で、日本共産党が国民とともにたたかうなかで、先の通常国会で野党が一致して廃止法案を参院に提出し可決させたことを振り返り、臨時国会では、いよいよ衆院で可決・成立させる番だと語りました。
■社会保障
医療の問題に関連して、社会保障費の抑制や消費税増税問題がテーマになりました。
消費税の税収が今年度の見込みも含めた累積で二百一兆円に上り、その大半(百六十四兆円)が法人税減税に消えている実態が紹介され、「あまりにひどい。それをさらに増税するというのはまったく論外だ」(吉井氏)と主張。
穀田氏は、「資本金十億円以上の大企業は、バブル時の一・八倍のもうけをあげる一方で、税金は当時より年間で二千億円も減っている」と事実を示し、「ここにしっかりメスを入れることが大事だ」と述べました。
赤嶺氏は、今年の米軍にたいする「思いやり予算」が二千八十億円に達し、自衛隊の装備もイージス艦や長距離の軍用機など「海外派兵型」になっていると指摘。これらをただせば、「社会保障のための十分な財源が生まれる」と力説しました。
■原油高騰
話題は、国民生活を直撃している原油・物価高騰問題に。政府が2%程度の物価上昇だとしているのに対し、高橋氏は八月に入ってから、卵12%、冷凍食品20%など生活必需品が軒並み一割から二割前後も高騰していることを強調しました。
小泉内閣以降、「貧困と負担増、物価高という『三重苦』が国民を襲っている」(穀田氏)という実態があります。
諸物価高騰の原因が「投機マネー」にあることは国民的には明らかになっているにもかかわらず、政府は「お知恵があれば教えていただきたい」(町村信孝官房長官)などと、まったく無策です。
各氏は、「投機マネー」の規制を求める世論を広げていくために全力をあげることをあらためて確認。吉井氏からは、燃油や小麦など国民生活に影響を与える物資への投機マネーの規制や短期的な投機取引にたいする課税導入に「本格的に乗り出すべきだ」との具体的な提起がされました。
穀田氏は、日本共産党国会議員団が七月に原油高騰問題対策委員会を設け、「投機マネー」規制と原油高への直接補てんを政府に申し入れてきたことを紹介しました。
■存在意義
討論の最後に穀田氏は、「共産党という名前を変えたらどうか」という声があることにふれ、「共産」とは、ラテン語などの「共同」に語源があると指摘。「日本共産党という党名には、もうけ第一主義ではなく、人間らしい新しい社会をみんなでつくっていこうというロマンと、侵略戦争に一貫して反対した歴史が刻まれている」と語りました。
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