2008年8月21日(木)「しんぶん赤旗」
日亜の偽装請負認定
是正を指導
徳島労働局
日亜化学(徳島県阿南市)に偽装請負で働かされていた派遣労働者が同社への直接雇用を求めていた事件で、徳島労働局が偽装請負の事実を認定して、同社と派遣会社に総点検と是正を指導したことが二十日、分かりました。告発していたJMIU(全日本金属情報機器労組)日亜分会の島本誠代表(35)に同日、報告がありました。
派遣法で期間制限(現行三年)を超えて働かせる場合、直接雇用を申し込む義務がありますが、これを逃れようと偽装請負をしていました。
労働局の指導は直接雇用に踏み込んでいませんが、偽装請負が認定されたことで同社の社会的責任が改めて問われます。
同社は〇六年、偽装請負を告発されて千六百人の請負労働者を順次、直接雇用すると約束。しかし「偽装請負はなかった」としてほごにし、島本さんら組合員は一人も採用せず、派遣会社への仕事を打ち切り会社から放り出しました。島本さんらはたたかいのすえ昨年から工場の草むしりや清掃の派遣業務で働いていますが、九月末で雇い止めされかねない事態です。
労働局は、派遣会社に対して引き続き雇用するよう要請したことを明らかにしました。
直接雇用を指導しない理由について同局は、派遣元が派遣先に期間制限を超えると通知していないという形式的理由で認めませんでした。
申告した組合員が雇用を奪われたのは、告発者への不利益扱いを禁じた派遣法違反との訴えについては、仕事の打ち切りは事業計画であり必ずしも申告への報復とはいえないとしています。
島本さんは、「偽装請負を認定したことは一歩前進だが、労働者の願いにこたえるものではない。違法行為を認定された日亜化学に正規雇用を強く求めていきたい」と話しています。
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