2008年8月22日(金)「しんぶん赤旗」
派遣労災死傷者 9倍
製造業解禁3年で
厚労省調査
二〇〇七年の派遣労働者の労働災害による死傷者は五千八百八十五人と、製造業への派遣が解禁された〇四年と比べて九倍となったことが厚生労働省のまとめでわかりました。
規制緩和による常用雇用の置き換えで派遣労働者が急増し、安全管理も不十分なまま危険な業務に従事させられていることを示しています。
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それによると、全労働者の死傷者数(休業四日以上)は十三万一千四百七十八人で、〇四年(十三万二千二百四十八人)からほぼ横ばいなのに対し、派遣労働者の死傷者数は年々増加しています。(グラフ参照)
最も多いのは、解禁された製造業で二千七百三人。運輸交通業が三百十六人、商業が三百八人、貨物取扱業が百二十七人など。前年比で、貨物取扱業が二・四倍、製造業と運輸交通業が一・九倍と急増しています。
死亡者は三十六人。製造業が十八人で半数を占め、次いで建設業が十一人です。「粉砕機を停止させずに清掃していて巻き込まれた」(食品製造)「ドリルで穴開け作業中、着ていたつなぎ服のすそが巻き込まれた」(機械器具製造)などの事例が報告されています。
低賃金と不安定雇用をもたらしている労働者派遣制度の見直しを求める世論が高まる中、厚労省も日雇い派遣の原則禁止の方針を固めるなど、秋の臨時国会では派遣法改正が焦点となります。
全労連非正規雇用労働者全国センターの井筒百子事務局長は、「製造業への解禁後に急増したことを示しており、派遣労働の自由化前に戻す派遣法の抜本改正が急務です。私たちの運動で与党も派遣法改正をいわざるをえないところまで追い詰めてきました。臨時国会に向けて、中途半端な改正に終わらせないよう運動を強めたい」と話しています。
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