2008年8月27日(水)「しんぶん赤旗」
トラック業界決起
全国一斉2万人 燃料対策求める
燃料高騰に苦しむトラック運送業者ら約二万人が二十六日、政府に緊急対策を求め、経営危機の突破をめざす全国一斉行動に取り組みました。全日本トラック協会が呼びかけた初の行動で、過去最多の参加数。適正運賃の確保や燃料税の減税、原油高を招くマネーゲームの抑止などの対策を求める決議を上げました。
東京
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東京では、関東トラック協会主催の決起大会に、一都七県などから約千五百人が参加。全日本トラック協会の中西英一郎会長が激励あいさつしました。
この業界に入って五十年になる関東トラック協会の星野良三会長はあいさつで、多くの事業者が存廃の危機に直面しているとして、「額に汗して働く者が報われる社会、縁の下で働く中小企業が報われる社会、その実現こそ政治の役割だ」とのべました。
大会後、参加者は、「トラックは国民の生活を守るぞ」などと書いたプラカードを掲げ、国会近くをデモ行進。「燃料高騰に負けないぞ」「農業も漁業も燃料に負けるな」と唱和しました。
約四十台の大型トラックをもつ神奈川県内の社長は、「(燃料価格の上昇分を運賃転嫁する)燃料サーチャージ制が導入されたが、荷主は値上げに応じてくれず、経営は苦しい。政府は早急な対策を」と話していました。
大阪
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近畿トラック協会(大和健司会長)は二十六日、大阪市内で「経営危機突破」総決起大会を開きました。大阪、京都、滋賀の三府県合同で、参加した約千五百人が「燃料税を緊急に減税しろ」などと、声を上げました。
建交労などの労働組合も協会からの要請を受けて参加。「燃料高騰で労働条件が悪化しつつある」と訴えていました。
大和会長が「コストアップ分の運賃への転嫁が困難で、廃業・倒産が相次いでいる。業界の窮状を国民、荷主、行政の方々に強く訴えよう」とあいさつ。府庁周辺の約一・九キロをデモし、橋下徹知事あてに決議文を提出しました。
東大阪市から参加した男性(53)=運送会社事務員=は、「ホンマに何のために働いているのか。燃料のためのよう」だと語り、賃金カットで「若いドライバーがいなくなる」と危ぐしました。
穀田氏メッセージ
日本共産党の穀田恵二国会対策委員長(衆院議員)はこの行動にあたり、連帯のメッセージを送りました。
また、建交労が連帯メッセージを送りました。
共産党 穀田恵二衆院議員メッセージ
トラック運送業界の燃料高騰経営危機突破全国一斉行動にあたって、日本共産党国会対策委員長の穀田恵二衆院議員が二十六日、全日本トラック協会などに送った連帯メッセージは次の通りです。
ここ数年来の原油高、本年春以降の現行軽油引取税額(リッター三十二円)を上回る燃料の急騰は運送業界を直撃し、とりわけ中小零細事業者に事業存廃の危機をもたらしています。
政府は「適切な運賃転嫁のための燃料サーチャージ制」などを打ち出していますが、今の重大な難局を打開するには軽油・揮発油の暫定税率廃止や燃油高騰に対応した中小業者への直接補てんなど、より抜本的な経営危機打開策を実施に移すべきです。
原油高の主犯が国際的な投機マネーの原油市場への流入にあることは明白です。にもかかわらず政府はこの規制に背を向け続けています。原油や穀物など人類の生存の土台となる商品にたいする投機の規制は絶対に必要です。監視、情報開示、適正な課税など、政府は国際的協力の下、投機マネーにたいする規制に踏み出せという声を大きくしていこうではありませんか。
燃料高騰による皆様の経営危機は、国民生活や経済産業活動を支える公共的な物流サービスの土台を揺るがすことにつながるものです。その打開のために私どもも全力をつくすことを申し添え、メッセージといたします。
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