2008年8月29日(金)「しんぶん赤旗」

経産省・金融庁が要望

企業の海外益を非課税

大資産家に証券優遇

リストラ促進減税延長も


 日本経済が景気後退局面に入るなか、福田内閣・与党は、あわてて「景気対策」をまとめようとしています。家計応援に経済政策の軸足を移すことが求められています。ところが、政府内からは、企業の海外利益を非課税にするなど、相変わらず大企業や大資産家を応援することを優先する政策が浮上しています。


 経済産業省は二〇〇九年度税制「改正」意見で、企業が海外子会社から受け取った配当に対する税を免除する新たな減税策を打ち出しました。

 現行は、企業が海外子会社から受け取った配当などについては、その子会社が国外で納めた税金を控除(=外国税額控除)した上で、日本の法人税率で課税されています。同省は、この制度を改め、法人課税の対象を国内所得に限定することを求めています。海外での売上高比率が高い大企業にとっては、海外でどれだけ大もうけしても、海外子会社からの受取配当には課税されなくなります。

 経済産業省はまた、企業が人減らしや企業再編をすればするほど減税となる「産業活力再生特別措置法」の税制措置の延長も求めています。企業リストラをさらに促進する税制です。

 一方、金融庁は証券税制について、高齢者と小口投資家を対象とする優遇税制の創設を求めています。

 高齢者に関して五百万円以下の株式譲渡益と、百万円以下の配当金を来年以降、一定期間、非課税にする案です。

 〇八年七月の東証第一部の株式平均利回り(単純平均利回り)は1・79%。この利回りの場合、百万円の配当を得るためには、約五千六百万円分の株式を保有していることが必要です。



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