2008年8月29日(金)「しんぶん赤旗」
主張
新テロ特措法延長
アメリカいいなりは明らかだ
政府・与党は、九月十二日から十一月二十日まで臨時国会を開くことを決めました。
福田康夫首相は、新テロ特措法延長法案の成立を確実にするために早期に臨時国会を召集することをめざしてきました。与党内の調整で会期は七十日間となったとはいえ、延長法案の成立に固執していることは変わりません。会期の延長も考えているといわれます。
福田首相がこれほどまでに新テロ特措法の延長に固執するのは、アフガニスタンでのアメリカなどの戦争を支援する対米約束を実行するためです。
米のしつこい圧力
七月の洞爺湖サミット直前の日米首脳会談の場で、福田首相がブッシュ大統領に、来年一月十六日以降も新テロ特措法にもとづくアフガニスタン戦争支援を継続すると秘密裏に約束していたことが一部報道で明らかになりました。シーファー駐日米国大使がサミット直後の七月二十日には福田首相に、八月二十日には麻生太郎自民党幹事長に対してなど、戦争支援の継続をしつこく迫り続けるのもこの約束を守らせるためです。
首相は、「わが国も無関係でない」とか「他国が頑張っている」などとあれこれ理由を並べ立てていますが、アメリカからいわれるままに戦争支援を継続しようとしているにすぎないことが明白です。
新テロ特措法への反発が強いのは、アメリカの「報復」攻撃以来七年近い戦争を通じて、軍事力行使ではテロ問題を解決するどころか事態を悪化させ、民間人の被害者を激増させるばかりだということがはっきりしているからです。新テロ特措法によるインド洋での給油支援活動は、アフガニスタン本土の戦争と一体です。国民がインド洋から自衛隊の撤退を要求するのは当然です。
福田首相はこうした国民の批判をかわすため、給油支援活動が石油輸送路防衛につながるという議論までもちだしています。タンカーを海賊からいかにして守るかは国際政治の課題であり、戦争支援とは別問題です。しかも石油輸送路防衛は、新テロ特措法にもありません。政府は法律にない問題をもちだして、戦争支援継続を正当化するのをやめるべきです。
対米約束を最優先にして、臨時国会の召集時期や会期を決める福田首相の態度は、あまりに卑屈であり異常です。国会は「国権の最高機関」であり、法案を徹底審議し、成立させるか廃案にするかを決めるのは、国会の権能です。あらかじめ会期の延長を前提にするなど国会の審議権をしばるような福田首相のやり方が許されるはずのないものであるのは明らかです。衆院が可決したあと参院が否決したり六十日以内に採決しない場合「再議決」する、というやり方を前提にしてはならないことも当たり前のことです。
平和解決に力つくせ
アフガニスタン情勢の悲惨さは、日本のNGO職員が現地で拉致され、殺害されたことでも明らかです。いま必要なことは、アフガニスタンに平和を取り戻し、復興を軌道にのせるための国際連帯の強化です。
政府は、アフガニスタン問題の平和的・外交的解決のため、戦争支援ではなく外交的な働きかけを強めるとともに、自衛隊をインド洋から撤退させるべきです。
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