2008年9月4日(木)「しんぶん赤旗」

大銀行の税負担、いまどうなっている?


 〈問い〉 街頭演説で「6大系列の銀行は1円も税金(法人税?)を支払っていない」ことを知りました。これは現在も続いているのでしょうか?(大阪・一読者)

 〈答え〉 現在、旧6大銀行系列の銀行は再編されて、「三菱東京UFJ」(旧三菱+旧三和)、「みずほ」(旧富士+旧第一勧業)、「三井住友」(旧三井+旧住友)の3つのグループになっています。このほか、大銀行としては「りそな」「住友信託」「中央三井信託」があります。

 07年度の各銀行の決算報告によると、6銀行の納税額(法人税のほか、法人住民税、法人事業税を含む額)は、三菱東京UFJが148億円、みずほが5億円、三井住友が160億円、りそながマイナス301億円、住友信託が656億円、中央三井信託が5億円となっています。このうち、利益に応じた法人税を納税しているのは住友信託銀行だけで、他の銀行は、計上した利益に比べてはるかに低い額の税金しか納めていません。たとえば、みずほ銀行の場合、2400億円近い利益を計上していますから、税率40%とすれば1000億円近い税額になるはずなのに、わずか5億円です。これは、法人住民税の均等割のように、利益の有無にかかわらず納める税金しか納めていないからだと思われます。三菱東京UFJや三井住友は、均等割以外に若干の納税をしているようですが、税引前利益(三菱東京UFJは6900億円弱、三井住友は5100億円弱)と比べれば、はるかに低い額で、ゼロといってもいいくらいの額でしかありません。りそな銀行にいたっては、連結納税制度を適用しているために、マイナスとなっています。

 大銀行が利益に応じた法人税を納めないのは、主に、過去に計上した「欠損」が繰り越されているからです。たとえば、三菱東京UFJ銀行の場合、今年3月末現在で約1・6兆円の「繰越欠損」を抱えています。そのほとんどは、02年度の赤字分ですから、もう5年も前の分です。利益が上がっても、この繰越欠損と相殺されてしまうために、税金がかからないのです。従来は、欠損の繰り越しは5年間しか認められていなかったのですが、04年度に制度が変更され、5年間が7年間に延長されました。しかも、01年度分の欠損にさかのぼって適用されることになりました。これによって、三菱東京UFJ銀行の02年度分の欠損は、従来通りなら07年度までしか繰り延べられなかったものが、09年度まで繰り延べできるようになったわけです。したがって、三菱東京UFJの場合、おそらくあと2年間(08、09年度)は法人税ゼロが続くと思われます。(垣)

〔2008・9・4(木)〕


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