2008年9月6日(土)「しんぶん赤旗」
「給油」「派兵」に固執
08年版防衛白書 “米軍支援は国益”強調
林芳正防衛相は五日の閣議に二〇〇八年版「防衛白書」を報告し、了承されました。白書は、インド洋で海上自衛隊が行っている米軍などへの補給活動について「この海域で各国艦艇が海上阻止活動を実施する上での重要な基盤」であり、「資源の多くを中東地域に依存するわが国の国益にも資する」などとして、その“意義”を強調。派兵延長をめざす考えを強くにじませました。(2、4面に関連記事)
白書は、安定的に洋上給油が可能な国が限られており、海自の活動は「わが国に相応(ふさわ)しい貢献」だと主張。「地域の平和と安全に貢献」していると誇りました。
しかし、海自が給油している米軍などが行っている活動は、米主導の対テロ報復戦争の一環です。この戦争は、「国益」や「平和」どころか、報復の連鎖を引き起こしています。白書も、アフガニスタン戦争の現状を「タリバーンなどによる攻撃事案が増加し、不安定な治安情勢が継続」と指摘せざるをえないのが実態です。
白書はまた、海外派兵をいつでも地球規模で可能にする恒久法について「迅速かつ効果的に国際平和協力活動(=海外派兵)を実施していくために望ましく、有意義」だとし、制定に強い期待感を示しました。
昨年一月の省移行以来、不祥事が頻発したことを受け、林防衛相は白書冒頭で「心より申し訳なく思っております」と陳謝。一方で「国際社会の平和及び安全に資するために、防衛省・自衛隊は、新たに生まれ変わらねばならない」として、不祥事の再発防止を逆手に海外派兵体制づくりを一層進める考えを示しました。
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