2008年9月8日(月)「しんぶん赤旗」

残業代・深夜手当ない

派遣や請負実態告発

埼玉弁護士会シンポジウム


 埼玉弁護士会は七日、第十七回憲法と人権を考える市民のつどい「働かないから貧しいんじゃない! 現代の貧困と働き方のルール」を川口市の市民ホール「フレンディア」で開き、約二百七十人が参加しました。派遣労働や偽装請負で働く労働者や労組関係者などが切実な実態を報告しました。

 埼玉県内の大手食品メーカーに派遣労働者として働き、今年八月に体調不良を理由に解雇された男性(60)は、残業代や深夜勤務の手当のなかったことや、会社の寮に強制的に入居させられて光熱費込み六万円の寮費を給与から天引きされた実態を告発。寮費や派遣会社からの前借り分の返済のため、手取りは月三〜五万円しかなかったとのべました。

 県内の自動車部品会社で偽装請負として働いていた女性は、長期間夜勤専門で働き続けて体調を崩したとのべ、「夜勤専門は派遣労働者ばかりで、正社員は一人もいなかった。働けるときはこき使い、働けなくなったら追い出される」と発言しました。現在は労組に加入して直接雇用を実現し、さらに正社員化をめざしてたたかっているとのべました。

 講演した神野直彦・東京大教授は、欧米諸国に比べて日本は税金や社会保障の形で所得を再分配する機能が弱いと指摘し、「そのまま(派遣労働など)労働市場の不平等化が進み、格差が広がった」とのべました。



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