2008年9月9日(火)「しんぶん赤旗」
学生無年金訴訟
来月10日に最高裁判決
統合失調症男性の2件 弁論
学生の国民年金加入が任意だった時期に未加入のまま統合失調症となった東京都内の男性二人が、社会保険庁長官を相手に障害基礎年金の不支給処分取り消しを求めた二件の訴訟の上告審弁論が八日、最高裁第二小法廷(古田佑紀裁判長)で開かれました。判決は十月十日に言い渡されます。
二人は大学生の時に統合失調症と診断されましたが、初診日が二十歳すぎだったため受給資格がないとされました。原告側は「精神障害者は発症しても早期に受診することが困難。二十歳未満の発症だったことを事後的に確認できれば、初診日要件を形式的に解釈すべきではない」と主張。国側は「法解釈の限界を超える拡張解釈は許されない」と訴えました。
両訴訟は一審で受給資格が認められ、高裁では一件が原告側の逆転敗訴、一件は勝訴が維持され、判断が分かれていました。判決では最高裁の統一判断が示されるとみられます。
身体障害者の学生無年金訴訟では、最高裁は昨年の判決で不支給を合憲と判断し、元学生側敗訴を言い渡しました。
弁論後の記者会見で原告弁護団の和田光弘事務局長は、二十歳をすぎてから医療機関を受診し障害基礎年金を受給できない統合失調症患者が多いことから、判決によって「数十万人に影響が出る」と指摘。原告の一人(48)は、「裁判所が社会保険庁を守るのか、障害者を守るのかが問われている」と訴えました。
報告集会には、全国から八十六人が参加し、最高裁での勝利判決をめざすとともに、立法府への働きかけで「一切の『無年金障害者』を生じさせないために、さらなる取り組みに前進していきます」というアピールを採択しました。
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