2008年9月11日(木)「しんぶん赤旗」

主張

同時テロ7年

「対テロ戦争」に終わりを


 七年前のきょう米国で、「同時多発テロ」が起きました。日本共産党はただちに「絶対に許されない卑劣な犯罪行為」とテロを糾弾するとともに、「軍事力による制裁・報復」でなく「法と理性」にもとづいて解決をはかるよう強く求めました。

 アフガニスタンやイラクでいまなお続くテロと暴力の応酬は、テロは軍事手段で解決できないことを明らかにしています。米国は「対テロ戦争」の破たんを直視し、その誤りを根本から正すべきです。

変わる世界

 「同時テロ」の翌日、ブッシュ米大統領はテロを「米国への戦争行為」と呼び、この戦争で「勝利する」と言明しました。アフガンへの「報復戦争」を宣言し、対イラク先制攻撃の扉も開くものでした。ブッシュ大統領はいまなお「グローバルな対テロ戦争」を主張しています。

 しかし、七年後の今日、アフガンの事態は悪化の一途をたどっています。米軍は、「同時テロ」の首謀者とされる人物の行方もつきとめられないまま、武装勢力タリバンの攻勢に直面して、戦線を拡大し続けています。ブッシュ大統領は四千五百人の兵力増派を決定しました。米軍は隣国パキスタンへの越境攻撃にも踏み切り、事態をいっそう複雑化させています。

 アフガン国内では、米軍の空爆が民間人に多数の犠牲者を出しています。米国が後押しするカルザイ政権さえ空爆中止を求め、米国との亀裂を深めているほどです。

 日本の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」の伊藤和也さんが武装勢力に拉致・殺害されたのも、こうした状況下で起きたことを忘れることはできません。

 米国は戦争の出口を見いだせないままです。事態が軍事力で解決できないことは歴然としています。米国の同盟国として「報復戦争」をたたかってきた国々では、戦争でテロはなくせないとの世論が急速に広がっています。

 米国でも、米軍部のシンクタンクといえる「ランド研究所」が、テロに「戦争」という観念をあてることで、戦場で問題の解決が見いだせるかのような幻想を抱かせたと、ブッシュ政権を批判する報告を出しました。「米国は(国際テロ組織)アルカイダに対する軍事力に過度に依存した戦略を根本的に見直さなければならない」とし、政治と警察活動で対処すべきだと提言しています。

 この七年で、世界は大きく変わりました。もはや軍事力で対抗する時代ではありません。無法なテロに対しては、国際法に合致した平和的・外交的手段でこそ効果的な対応ができるのです。

問われる日本

 こうした世界の流れに逆らって、アフガンでもイラクでも米国の戦争を支援してきたのが日本政府です。アフガンでは海上自衛隊によるインド洋での米艦船などへの給油という形で、米国の「対テロ戦争」に加担し、罪のない民間人の殺りくに手を貸してきました。

 自公与党は給油活動を延長する法案の国会提出を決めましたが、米国の要求に応えるためだけに道理のない戦争への加担を続けることは許されません。米国べったりの日本の外交姿勢を転換することが、差し迫った総選挙で問われる重大問題の一つとなっています。



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