2008年9月11日(木)「しんぶん赤旗」

与党の新テロ特措法延長案

臨時国会提出狙う背景は


 自民、公明両党は九日の政策責任者会議で、新テロ特措法に基づくインド洋での海上自衛隊の給油継続について合意しました。自民党担当者は、十九日に閣議決定し、次期臨時国会への新テロ特措法延長案の提出につなげたい意向を示しています。

アメリカの圧力

 自公政権下で二代続けての首相の政権投げ出しで、新首相は解散・総選挙によって国民の審判を仰ぐことが避けられません。その中で与党は、福田政権の下で閣議決定までして、給油継続を次の政権の優先課題として引き継ごうというのです。その背景には、アメリカの圧力が見え隠れします。

 マイケル・グリーン元米国国家安全保障会議(NSC)上級アジア部長は、「ウォールストリート・ジャーナル アジア版」(九月三日付)に発表した論文で「次の首相は、アフガニスタンにおける要請に目を向け、必要とされる援助を配分する機会をつくらなければならない」と主張。「アフガニスタンにおける国際的連合は、PRT(地方復興チーム)の支援のためにヘリコプター、より多くの復興資金、地上軍派兵を必要としている。これらのミッションはすべて憲法の制限の範囲内で満たすことができるものである」とアフガンへの陸上部隊派兵を迫っています。

 解散への流れが強まる中でも、とにかく臨時国会に延長案を提出しようというのは、アメリカへのメッセージです。自民党総裁選に石破茂前防衛相が“緊急参戦”し、外交・安全保障の問題が争点の中心に押しあげられたことも無関係ではありません。

 延長案が提出されても衆院解散となれば、法案は廃案となり、新たな衆院の構成、新政権のもとでやり直しになります。自民党元国防部会長の一人は「総選挙で圧勝できない限り、われわれはもう衆院での再議決はできない。参院で否決されるなら、それはあげて野党(民主党)の責任ということだ。それ(責任について)は野党の側で考えればいい。時間はある。そのために早く解散・総選挙に進むべきだ」と総選挙後の民主党の対応の変化を念頭においています。

民主党の対応

 前出のグリーン論文は「憲法の範囲内」での「陸上部隊の派兵」に言及しています。

 民主党の小沢一郎代表は、国連安保理決議に基づく集団安全保障活動に日本の自衛隊が参加することは憲法との矛盾を生じないというのが持論です。政権に就いたときには、ISAF(国際治安支援部隊)に自衛隊を参加させると表明しています。グリーン氏は民主党の対応も視野に入れているのです。

 小沢氏の側近の一人は「選挙が終われば、民主党はアフガン支援策の具体化をはからねばならないし、はかるだろう」と述べています。(中祖寅一)



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