2008年9月11日(木)「しんぶん赤旗」
雇用促進住宅の退去期間延期
居住者とともに共産党
繰り返し交渉
厚生労働省・雇用能力開発機構は九日、全国十四万戸、三十五万人が住む雇用促進住宅を全廃する方針について、その退去手続きを一部「見直し」することを明らかにしました。
その内容は、(1)全入居者に対して十分かつ丁寧な説明を行う(2)低所得、高齢など転居先の確保に困難を伴う(入居者の)特段の事情を考慮する(3)適切かつ公平に退去に向けた準備期間を確保する―などというものです。
具体的には、退去期間を一年延期するとともに、今後、定期借家契約も含めすべての住宅で説明会を開き、それが終了するまで強制退去は求めないとするものです。
この「見直し案」は「通知の紙一枚で退去とは何事か」「居住権の侵害だ」とする住民の怒りの声を背景にした居住者の運動の反映であり、一定の成果です。
日本共産党は国・機構の強引なやり方に戸惑った人たちと一緒に議員や支部と協力して、居住権を守ろうと署名やアンケートなどに取り組むとともに、八回にわたる政府交渉を行いました。八月二十六日には、党国会議員団が直接、舛添要一厚生労働相に会い、「居住者の理解を得ない一方的な住宅廃止決定を白紙に戻す」ことなどを内容とした五項目の要請を行い、厚労相も検討のうえ回答することを約束しました。
今回の見直しは、雇用促進住宅の全廃に何の大義名分もなく、現行借地借家法の立ち退き請求の正当事由にも当たらない不法不当なものであることを改めて示しました。
日本共産党は引き続き、「一世帯も路頭に迷わせない」との居住権保障の観点から、改めて住宅全廃決定を白紙に戻すとともに、ネットカフェ難民やワーキングプアと呼ばれる人々への住宅対策の一環として、雇用促進住宅の活用を早急に検討することを求めています。(日本共産党国民運動委員会・高瀬康正)