2008年9月11日(木)「しんぶん赤旗」
米州ボリバル代替構想(ALBA)とは?
〈問い〉 ベネズエラやキューバがすすめている米州ボリバル代替構想(ALBA)って何ですか。(東京・一読者)
〈答え〉 米国による経済支配から脱して、自立した中南米の経済、社会を作るためとして、両国が中心となってすすめている地域経済協力の機構です。ボリバルはスペインからの南米独立革命の指導者で、この名を冠したALBAは「米州ボリバル代替構想」のスペイン語の頭文字をとった略称です。
この構想は2001年末、ベネズエラのチャベス大統領が提唱しました。大統領はここで、米国が1990年代から推進してきた米州自由貿易圏(FTAA)構想は、弱肉強食の市場原理主義に基づく新自由主義のさらなる押し付けであり、米国による米州大陸の経済支配をいっそう強化することを狙ったものであると批判。これに対抗する中南米独自の相互の経済協力の仕組みを発展させようとよびかけたのです。
この構想が最初に実現したのはキューバとの間の経済協力協定でした。両国は04年に協定を結び、「協力と連帯によって、相互に高いレベルの発展をめざす」経済協力に合意しました。たとえばベネズエラがキューバに石油を供給し、その支払いはドルではなく、キューバがもっている医療や教育の先進的な技術の「輸出」、具体的には、キューバが医師や看護師をベネズエラに派遣して支払うようにするものでした。
米国は、この動きは「座視できない大衆迎合主義」と批判して敵視しています。しかし、自由貿易至上主義にかわるこの構想には、原油や食料高騰に苦しむ多くの諸国の国民に支持が広がり、05年には資源主権の確立をめざすボリビアが加入。キューバの医療やベネズエラの石油輸入の代金を大豆や亜鉛などの農業・工業製品の輸出で支払う貿易関係を打ちたてました。
サンジニスタ民族解放戦線党政権が発足したニカラグアが07年1月に加入、07年1月の首脳会議には四国のほか6カ国がオブザーバー参加し、その後、カリブ海のドミニカ(ドミニカ共和国とは別)が加入。さらにこの7月末、中米でもっとも親米的だったホンジュラスのセラヤ大統領がALBA加入で国の発展戦略の根本的な転換を図りたいと表明しました。(靖)
〔2008・9・11(木)〕