2008年9月12日(金)「しんぶん赤旗」

石綿被害者ら和解

三菱マテリアル 1億2000万円を補償


 大阪府泉南市で約六十年間アスベスト(石綿)製品を製造してきた三菱マテリアル建材(旧三好石綿工業)に、アスベスト被害の補償を求めて交渉してきた元従業員・周辺住民や遺族らは十一日、同社が総額一億二千三百七十万円を支払うことで和解しました。じん肺で加害企業との間に裁判外で集団和解が成立したのは全国で初めてです。

 和解したのは三菱マテリアル建材アスベスト被害請求人団の十九人。二〇〇七年六月から全面的な被害実態調査や補償を求めて三菱マテリアルと交渉してきました。

 記者会見で芝原明夫弁護団長は「和解協定には、医学的に疾患と認められず今まで一切補償されていない胸膜プラークの患者と今後の症状悪化を想定して継続協議すると盛り込まれ、三菱マテリアルが社会的責任を負うことも明記されています。この和解がいまアスベスト被害で悩んでいる方、あきらめている方への大きな励ましになります」とのべました。

 請求人の一人、南和子さん(65)=泉南市=は、三好石綿の隣の畑を耕作していた父親が石綿肺で〇五年二月に亡くなりました。「父は息を吸うことも吐くこともできずミイラのようにやせほそり、苦しみぬいて亡くなりました。お金で尊い命や長年の健康被害を取り戻すことはできませんが、私もアスベストを吸っていますので、この和解を健康保持につなげるようにしたい」と話しました。



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