2008年9月17日(水)「しんぶん赤旗」
米証券大手リーマン破たん
金融不安加速 世界株安の様相
米国の低信用層向け高金利型(サブプライム)住宅ローン問題に端を発した金融市場の混乱が新たな広がりを見せています。米証券四位リーマン・ブラザーズが十五日、経営破たん。銀行二位バンク・オブ・アメリカが同日、証券三位メリルリンチの買収を決定。また、資本不足が懸念される米保険最大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)も増資交渉が難航と伝えられます。同日のニューヨーク株式市場では金融不安が一気に高まり、ダウ平均株価が史上六番目の下げ幅を記録。十六日の東京株式市場も日経平均株価が六〇五円安の大幅下落となりました。
【ワシントン=西村央】深刻な経営危機に陥っていた米証券大手のリーマン・ブラザーズは十五日未明、米連邦破産法一一条の適用を申請し、事実上経営破たんしました。
同社は一八五〇年創業で、百五十八年の歴史を持つ米国を代表する老舗の証券会社ですが、昨年夏以降、低信用層向け高金利型(サブプライム)住宅ローン関連での損失が急増していました。その総額は、ことし八月までで約百四十億ドル(約一兆五千億円)を計上していました。株価も低落の一途でした。
米国の金融界をめぐっては、政府が今月七日に、サブプライムローン問題の影響で業績不振に陥っていた政府系住宅金融会社、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)に公的資金注入枠を設定するなど救済策を発表したばかり。それから一週間余で老舗証券会社が倒産し、米金融市場が陥っている危機の深刻さを見せつけるものとなっています。
米メディアによると、リーマン・ブラザーズに対してもポールソン財務長官や民間金融機関首脳が協議し、救済策が検討されていましたが、合意には至りませんでした。
リーマン・ブラザーズ 一八五〇年創業の米四位証券会社。一九八四年にクレジットカード大手アメリカン・エキスプレスの傘下に入りましたが、九三年に分離独立。翌年、ニューヨーク証券取引所に上場しました。不動産の証券化業務を得意としていましたが、住宅バブルの崩壊で保有資産が急速に劣化。今年三―五月期には上場以来初の赤字に転落しました。