2008年9月24日(水)「しんぶん赤旗」
原油高利益に課税
議会可決 税率25%、弱者救済へ
ポルトガル
リスボンからの報道によると、ポルトガル議会(一院制)はこのほど、原油価格高騰による利益に課税する新たな税制を、保守野党や石油企業の反対を押しきって可決しました。税収は価格高騰による被害を和らげることに向けられることから「ロビン・フッド税」と呼ばれます。
石油企業各社が原油高騰で増大させた利益部分が課税対象となり、税率は25%に固定。ソクラテス首相(社会党)は、約一億ユーロ(約百五十五億円)の増収になるとの見通しを明らかにし、「金融市場、石油市場の危機の影響を軽減する」措置に支出されると言明しました。
この新税について、保守派野党は「対応が遅い」と政府を批判。石油企業も「石油企業を攻撃」対象にした「不当な」税制だと非難しました。
欧州では石油価格高騰によるたなぼた利益を国民に還元させる同様の措置が広がりつつあり、イタリアではすでに八月初め、新税創設が決定されています。欧州連合(EU)も基本的に賛成の立場です。フランスではこうした動きを受け、世界五大メジャーの一つであるトタル社が一億ユーロを政府に「献金」しています。
ロビン・フッド税 ロビン・フッドは中世英国の伝説上の義賊。ロンドンの北百八十キロ、ノッティンガムのシャーウッドの森に隠れ、時の圧制に抗してたたかったという話から、社会的弱者や貧しい人びとの救済の目的を明確にして、高額所得に課税する税制をロビン・フッド税と呼ぶことがあります。
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