2008年9月25日(木)「しんぶん赤旗」
農産物自由化 その時、各党は?
〈問い〉 今日の農業危機を招いた根源には、農産物の輸入自由化があり、それを決定的に進めたのがウルグアイ・ラウンドだと聞きました。ウルグアイ・ラウンドとは何ですか。この問題で各政党はどういう態度をとったのでしょうか。(東京・一読者)
〈答え〉 ウルグアイ・ラウンドとは、貿易自由化の拡大をめざして、世界のほとんどの国が参加して1986年から8年にわたって行われた多国間貿易交渉のことです。南米のウルグアイで開始宣言がなされたことから、こう呼ばれています。
ウルグアイ・ラウンドは93年末に合意され、それにもとづいて95年にWTO(世界貿易機関)協定が発足しました。その内容は、農産物にも原則自由化を適用し、関税や農業保護の一律削減を各国に押しつけるものでした。アメリカやEUなど輸出大国の利益を優先する一方、輸入国や途上国の農業を犠牲にする不公正なルールであり、工業製品の輸出拡大の見返りに農産物の自由化を求める日本財界の要求も反映していました。
WTO農業協定が95年に発効して以降、農産物や加工品の輸入が急増し、価格が低落、農業の崩壊が急速に広がりました。食料自給率は40%にまで低下、食の安全を脅かす事態も続発するようになりました。
国の農政の基本も、WTO農業協定にあわせて「改正」され、価格保障が次々に投げ捨てられ、大多数の中小農家を切り捨てる農業「構造改革」に力が注がれました。必要のない米を輸入し、大量の在庫となって国産米を圧迫、米価暴落や減反強化、水田の荒廃といった米をめぐる矛盾を激化させたのも、ウルグアイ・ラウンド合意を受け入れた結果にほかなりません。今日、「事故米」の食用転売で食の安全を揺るがし、大問題となっているミニマムアクセス米の輸入は、そこに出発点があります。
では、このウルグアイ・ラウンド合意の受け入れの際の決定的な場面で、各党はどういう態度をとったのでしょうか。
ウルグアイ・ラウンド合意を受け入れたのは、細川内閣ですが、そこで中心的な役割を果たしたのが現在の民主党代表、当時の新生党代表幹事の小沢一郎氏です。また、WTO協定の批准を国会に提案したのは社会党委員長が首相を務める村山内閣であり、これに日本共産党以外のすべての政党が、「コメ自由化反対」という公約を土壇場で裏切って、賛成したのです。日本共産党以外の政党が、最終的にはアメリカの圧力に屈服し、大企業の利益を優先して、農業は犠牲にしてきた歴代自民党政府と同じ土俵にいることを浮き彫りにした出来事でした。(橋)
〔2008・9・25(木)〕