2008年9月27日(土)「しんぶん赤旗」
守秘義務 どう考える?
〈問い〉 先日の市田忠義書記局長の裁判員制度についての記者会見で、守秘義務について言及していますが、日本共産党は、一般的に守秘義務について、どのような見解をもっているのでしょう?(埼玉・一読者)
〈答え〉 「守秘義務」とは、一定の職業や職務にたずさわって得た秘密を漏らしてはならないとして、法律で特別に課せられた義務をいいます。その職を退いた後も適用されます。正当な理由がなく、職務上知ることのできた秘密を漏らした場合は、刑罰の対象になります。
刑法第134条は、医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、公証人、宗教の職にある人などに、正当な理由がないのに、業務上取り扱ったことについて知り得た「人の秘密」を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処するとしています。
また、国と地方の公務員、弁護士、独立行政法人の役員、電気通信事業に従事する人、無線通信を傍受する人、技術士などには、個別の法律で「職務上知ることのできた秘密」を守る義務が定められ、刑罰は、国家公務員法が懲役1年以下、罰金3万円以下、電気通信事業法が懲役2年以下、罰金100万円以下など、法律によって異なります。
教員採用試験の結果を合否発表前に県議らに事前通知していたことが各地で問題になっており、警察官が捜査情報を外部に漏らしたりすることもしばしば起きています。このような職務上知ることのできた秘密を守ることは当然です。
また、民間委託や民営化で個人のデータがしばしば流出していることも軽視できません。
同時に、国や自治体などが、国民に知らせるべき情報を、しばしば「守秘義務」を理由に明らかにしないということも改めるべきです。守るべき秘密とは主権者である国民の権利、利益から判断すべきだからです。
とくに、軍事にかかわる情報は、日米安保条約第6条・日米地位協定に伴う刑事特別法や「日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法」(MSA秘密保護法)で、業務にたずさわる人だけでなく一般国民も、米軍の軍事上の機密で公になっていないものを他人に漏らすと、10年以下の懲役としています。
沖縄返還交渉の過程で、沖縄の軍用地復元費用をアメリカに代わって日本が支払うとの密約が書かれた電信文案を、新聞記者が外務省職員から入手した外務省秘密漏えい事件で、最高裁は記者の手段・方法は正当な取材活動の範囲をこえているとして有罪としました。しかし、守秘義務があっても、総合的に判断し、知る権利の実現など「正当な目的」がある場合は、違法とはいえません。(光)
〔2008・9・27(土)〕