2008年10月9日(木)「しんぶん赤旗」

汚染は「事故米」だけの問題なの?


 〈問い〉非食用の事故米を食用に転用していた問題は、農水省も同罪だと思います。同時に、これは事故米だけの話なのか、ほかにもあるのではないか、とても不安です。どうなのでしょうか?(神奈川・一読者)

 〈答え〉三笠フーズによる事故米の食用転用事件は全国に衝撃を与えました。一体何を信じて食べたらいいのかというのが、国民の共通した声になっています。果たして、米だけなのか、それが国民の不安にもなっています。

 今回の事故米の舞台は、ミニマムアクセス(MA)米でした。輸入商社が輸入を手がけますが、国家貿易として輸入される米です。カビや残留農薬違反の輸入米は、廃棄積み戻しされず、非食用として商社から国に売り渡され(輸入され)、国は同額で商社に売り渡し、処理は商社に任せる仕組みになっていました。輸入商社は、国の指導に応じて、非食用の米を三笠フーズに売り渡し、今回の事件となりました。

 実は、同じような仕組みが小麦についてもあるのです。小麦は、年間500万トン以上輸入され、米と同様に国家貿易で、輸入商社によって輸入されています。当然、カビや水濡れ、残留農薬違反などの事故小麦が発生します。紙智子事務所の調査でも1995年から2007年までの12年間で3万8000トン余の食品衛生法違反の事故小麦が発生しています。本来、同法違反の事故小麦は廃棄積み戻しが当然ですが、1万トン以上の事故小麦が、非食用として輸入されていました。そして、それらの事故小麦は、飼料用、肥料用、工業用のり向けに販売されることになっていましたが、食用に転用されていたと指摘する告発文書も届いていました。

 この問題は、9月18日の参議院農林水産委員会で紙智子議員が取り上げ、政府に調査を要求しました。太田農水大臣(当時)も「MA米のみならず小麦についても同様のことがないかということでもって厳格にチェックすべきだというのはおっしゃる通りです」と調査を約束しました。しかし、いまだ、調査結果の公表はありません。

 小麦の輸入は、54年の米国とのMSA小麦協定(アメリカ余剰農産物購入協定)以降始まり、農業基本法が制定された61年以降本格的になりました。事故小麦の歴史は、ミニマムアクセス米輸入よりも41年も前にさかのぼることになります。小麦の用途は、食パン、うどん、ラーメン、スパゲティ、マカロニ、ギョーザ、みそ、しょうゆ、ケーキなどあらゆる食品に使われているだけに、徹底的な調査が求められています。(小)

〔2008・10・9(木)〕


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