2008年10月10日(金)「しんぶん赤旗」
労働者派遣法の抜本改正と無法許さぬたたかいを一体で
派遣法集会での 志位委員長のあいさつ
参院議員会館で九日、開かれた派遣法の抜本改正を求める集会で、日本共産党の志位和夫委員長が行った発言(要旨)は次の通りです。
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みなさんのたたかいに心から敬意を申し上げるとともに、ともにたたかう決意をこめて発言します。
政府・与党から労働者派遣法改正の議論が出てきたことは、一定の変化ですが、その中身はきわめて不十分であり、こうした取り繕いで終わらせてはならないということは、当然のことであります。派遣法をどう抜本改正するかについて、私たちと、ここにお集まりのみなさんの考え方とは、ほとんど一致していると思います。共同してたたかっていく決意であります。
違法を告発したら、雇い止めにする――ものいえぬ社会にしていいのか
一九九九年の派遣労働の原則自由化が今日の事態を招いたわけですから、やはり原則自由化前に戻して、登録型派遣については厳しく制限する、違法行為を行った受け入れ先企業に対しては、正社員化の義務を負わせる「みなし雇用」などを含んだ抜本改正を求めていきたいと思います。
この運動を前進させるうえで私が強調したいのは、法改正を求めるたたかいと、大企業が現場で行っている違法行為をただすたたかいを、一体に取り組むことが大切ではないかということです。
私は、本会議の代表質問と、一昨日の予算委員会の質疑でこの問題をただしたのですが、日亜化学、キヤノン宇都宮光学機器、松下プラズマなどで、偽装請負をやむにやまれず告発し、救済を求めた労働者に対して、いろいろな嫌がらせをさんざんやったあげく雇い止めにするということが現に起こっているわけです。
これは絶対に見過ごすわけにはいかない問題です。違法を告発したら、救済してくれといったら、逆に首を切られるとなったら、だれもものが言えなくなります。ものいえぬ社会にしていいのかという問題が問われている。こういう違法行為を一つひとつやめさせていくための連帯したたたかいを、法改正のたたかいと一体で取り組んでいくことが大切だと思います。
この問題について予算委員会で追及しましたら、麻生首相は“私は逃げない”というわりには逃げた答弁ばかりするのですが、ともかくも「事実ならきわめて不当」といいました。「きわめて不当」といった以上、ああいう雇い止めはやめさせていくということが当然の責任であります。
そして、こういう問題とのかかわりでも、「みなし雇用」はやっぱり必要であり、違法行為をやったらその企業に正社員にする義務を負わせるところまでいかないと、これは本当の法改正とはいえないということを強く感じました。
派遣の期間制限をすりぬけて、永久に派遣として使いつづける違法のたくらみ
もう一つ、トヨタ車体を調べてみて驚いたことなのですが、派遣の期間制限――最大三年という期間制限をすりぬけて、さらに使い続けるために、ひとつのラインの日勤と夜勤のなかで派遣労働者を使い回しにしている。こうして、永久に直接雇用とせずに、派遣として使い続けるという違法行為をやっているという事実も明らかにしました。
政府は、相手がトヨタとなるとなかなか調査するとはいいません。しかしともかくも、首相に「現実に照らして対応する」ということを約束させました。
この問題も、一九九九年の原則自由化につづいて、二〇〇四年から製造業の中にまで派遣を広げてしまったことによって起こっているわけです。そういう「使い捨て」労働の拡大のうえに、さらに企業が横暴勝手なことをしているという事態です。ですから、法改正を求めるたたかいを大いにすすめると同時に、現場で実際に起こっている無法をやめさせていく。そして、その無法をなくすうえでも法改正が必要だという主張を広げていくことが大切ではないかと考えています。
この問題で感じることは、派遣労働者のみなさんと話していると、派遣でもまだ仕事があるだけましだという方もいる。違法の是正や法律の抜本改正をあんまり厳しくやって自分たちの仕事がなくなったら大変だという心配も寄せられます。
もっともな心配だと思い、心が痛む思いで聞きました。しかし、そこまで若者を追い込んできたのは政治の責任です。そして、そういうことがあるからといっていまの事態を放置しておいたら、奴隷労働が永久に続くわけです。ですから、そういう方々の不安にこたえるための政治の責任を果たしながら、抜本的な法改正をすすめていく必要があると思います。
政治の責任で、現に派遣で働いている労働者の雇用を守りつつ、法改正に取り組む
すなわち、現に派遣で働いている労働者の労働条件が悪くなったり、ましてや首になったりするようなことは絶対にあってはならない。現に働いている人の雇用が安定し、正社員になる。そういう保障をしっかりやりながら法改正をはかっていくことが、大切だと思います。たとえば雇用保険は、積み立てられたお金が六兆円もあるわけですから、これもしっかり使って生活保障も政治の責任でやっていく必要があります。
抜本改正を現実にすすめるさいには、いろいろな問題が起こってきますが、生活保障や失業補償もしっかりとすすめ、安心して働ける安定した仕事にしっかりつけるようにするための政治の責任を果たしながら、法改正に取り組んでいきたいと思います。
一致点での大同団結を広げながら、人間「使い捨て」の労働をなくすための抜本的法改正をめざして、力をつくしたい。ともにがんばりましょう。
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