2008年10月11日(土)「しんぶん赤旗」
臨時国会は今どうなっているか
補正予算案・「新テロ」延長案
共産党と自・民の違い鮮明に
こくた恵二国対委員長に聞く
臨時国会は、麻生内閣が提出した補正予算案が自公民などの賛成で衆院を通過、自衛隊のインド洋派兵を継続するための新テロ特措法延長案も民主党が採決容認に転じ、二十日にも衆院特別委で採決されようとしています。国会の事態をどうみるか、日本共産党と民主党の対応の違いはどこからきているのか、日本共産党のこくた恵二国対委員長に聞きました。
十分な審議で争点明らかに
――日本共産党は、どのような立場でこの臨時国会に臨んでいるのですか。
穀田 この国会は、二代続けての政権投げ出しを受けて開かれ、麻生内閣が誕生しました。私たちは、国会冒頭の議員団総会で志位和夫委員長がのべたように、国政の基本問題について、徹底的に審議し、争点を明らかにしたうえで、国民の審判を仰ぐという立場で臨んできました。
いま国民生活は深刻な不安と危機に見舞われています。それだけに、後期高齢者医療制度を廃止すること、雇用の安定をはかるルールを確立すること、金融不安の直撃を受けている労働者や中小企業をまもる緊急対策や、「食の安全」を確保する対策など、緊急に求められていることが山積しています。これまでの「構造改革」路線を転換し、内需・家計に軸足を移す経済対策が求められています。
それらに真正面からとりくむため十分な審議を求めてきました。
不安に応えぬ補正予算案
――ところが補正予算案審議は衆院でわずか三日間でした。
穀田 政府の出してきた補正予算案は国民の不安と危機にこたえるものには全くなっていません。大企業応援の従来の経済政策にしがみつくものです。
とりわけ重大なのは、後期高齢者医療制度の存続を前提としていることです。
ところが、民主党はこの補正予算案に賛成しました。後期高齢者医療制度廃止法案を出した立場はどうなるのかがきびしく問われます。採決の本会議で野党第一党の民主党のみが討論に立たないという異様な情景に、議場では「もう大連立か」のヤジも飛びました。
新テロ法案も党略優先で
――民主党は新テロ特措法延長案の採決も容認しました。
穀田 民主党は、衆院の解散を優先させる党略的対応がすべてです。それが新テロ特措法延長案の採決問題でもあらわれました。
もともと、新テロ特措法延長案は野党が多数の参院で否決される見通しであることから、与党である公明党も一時は再議決に慎重姿勢をみせ、政府内では成立をあやぶまれていました。
ところが、八日になって民主党が突如、本会議での趣旨説明・質疑をやらずにテロ特別委員会にただちに付託すると言い出し、「審議は一日でもいい」などといって、与党への異常なすりよりを見せ始めたのです。
衆院では十七日と二十日の二日間審議することになりましたが、「二十日の質疑後に採決を」と提案したのは民主党からでした。参議院の審議について民主党幹部からは「一日でも一時間でも結論を出せる」との発言まで飛び出すありさまです。
米いいなりに派兵継続か
――日本共産党は民主党の対応に断固反対を主張しましたね。
穀田 もちろんです。私たちは新テロ特措法延長案は廃案にすべきだという立場ですが、審議するならば、どうしたらテロをなくせるかを徹底的に議論して国政上の大争点として明らかにすべきだと位置づけてきました。アフガニスタンの今日の事態をみると、「戦争でテロはなくせない」ことが事実で明らかになっています。カルザイ政権がタリバン側に政治的解決のための交渉を呼びかけるなど、局面は大きく進展しており、真剣に議論する必要があります。
また、新テロ特措法の問題は、安倍、福田と二代にわたる政権投げ出しの契機ともなった問題です。アメリカのいいなりに派兵を続けるのかが問われる大問題です。民主党自身も「憲法違反だ」とまでいって、前国会では“徹底抗戦”を主張していました。そうした経過からみても、早期採決などという方針はまったく道理のないことです。
二大政治悪に対抗できない
――なぜ、民主党はこんな対応をとるのですか。
穀田 根本には、大企業中心、アメリカいいなりという自民党政治の「二つの政治悪」に対抗する足場がないことがあります。
新テロ特措法延長案の採決を容認したのも、アメリカいいなり政治に対抗しきれないからです。民主党のなかからは「給油延長を完全に葬り去れば、アメリカと決定的に衝突する」と採決容認の理由を語る議員もいます。
いま金融不安でも、大企業応援を強めて国民に犠牲を転嫁するのか、それとも雇用を守り、中小企業や農業を応援する内需主導の経済に転換するのかが問われています。この点でも、自民党政治の「二つの政治悪」に対決する日本共産党の立場と民主党などの立場の違いはいっそう鮮明になっていると思います。
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