2008年10月13日(月)「しんぶん赤旗」

後期医療 保険料の督促

「私、社会の負担ですか」

天引き拡大 不安増


 七十五歳以上の高齢者全員から保険料を徴収し、受けられる医療も差別する後期高齢者医療制度。十五日から、これまで徴収されていなかった被扶養者など新たに約三百二十五万人の保険料が年金から天引きされます。天引きを前に高齢者をいっそう不安に陥れる事態が起きています。


 東京都荒川区に住む女性(80)のもとに九月下旬、区役所から後期高齢者医療の保険料納付を求める「督促状」が届きました。

 「何のことか分からず、息子に見せてお金を払ってもらいました」と女性。

 同区など二十九自治体では、四月からの年金天引きを十月まで先送りし、その間の保険料は被保険者が直接納付するように求めてきました。

 ところが、納付漏れが続出し、二十一自治体では合計十五万人に督促状を出しました。その数は、対象者の二割近く。ほとんどの人が保険料を直接納付しなくてはならないことを知らなかったといいます。

 督促状を受け取った女性はいいます。

 「この制度になってから、私が生きていると人の負担になるといわれているようで、がっくりします」

 七千二百五十通の督促状を送った埼玉県川越市。問い合わせで「課内八台の電話が一日中鳴っていた」(医療助成課)といいます。内容は「勝手に制度を変えて督促とはなんだ」というものが大半でした。

 さいたま市でも、対象者の三割に当たる二万六千通に督促状を送り、問い合わせが相次いだといいます。

 この人たちは、未納分の納付と新たな年金天引きという二重の痛みに苦しんでいます。

 同制度の廃止を求めて運動している、さいたま市社会保障推進協議会の荒川常男会長は「高齢者に不安と混乱を招くだけの医療制度です。こんな制度は、小手先の見直しではなく、廃止すべきです」と訴えています。

 十五日からは、六十五歳から七十四歳までの国民健康保険の加入者約三百万人の保険料も年金から天引きされます。年金からの保険料天引きの新たな広がりで、高齢者の怒りが改めて噴出すことは必至です。


制度廃止へ行動計画

 「高齢者を差別する医療制度は廃止しかない」との怒りの声をさらに大きくしようと、15、16の両日を中心に、全国各地で、社会保障推進協議会(社保協)や全日本年金者組合(年金者組合)などが宣伝行動を繰り広げます。

 北海道では15日を中心にいっせい宣伝行動を計画。札幌市内で大通3丁目での街頭宣伝、座り込み行動、退勤時デモ行進をはじめ、道内各地100カ所での宣伝行動を予定しています。

 大阪では15日前後に大阪市内の北、西淀川、城東、港などの各区、枚方市などで社保協、民主商工会(民商)が宣伝行動などを計画。大阪市の福島民商(17日)、住吉民商(28、29日)が相談会を開きます。

 年金者組合は16日を「年金者一揆2008」として全国各地でいっせいに集会・デモ行進を計画。東京では日比谷野外音楽堂での集会と銀座をパレード、大阪では大阪市・市役所前での集会と宣伝、パレードを予定しています。



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