2008年10月17日(金)「しんぶん赤旗」
乳価 来春 再引き上げ
生産者らの交渉実る
酪農家や農協でつくる最大手の生産者団体「関東生乳販売農業協同組合連合会」は十六日、飲用乳価を来年三月から一キロ当たり十円引きあげるとの合意が乳業メーカーと成立したと発表しました。生乳不足におちいるとの危機感が反映しました。
飲用乳価は、全国九地域で年度ごとに交渉がおこなわれています。二〇〇八年度は四月から一キロ三円の引き上げがおこなわれましたが再生産価格にはならないとして再交渉が続いていました。年度内に二回引き上げとなるのは一九七五年度以来三十三年ぶり。
会見した関東生乳販売農協連合会の林克郎常務らは、農協系の日本ミルクコミュニティを皮切りに大手乳業メーカーの明治、森永と合意したため、ほかの八地域もほぼ同様の内容で同意する見通しといいます。実施時期が来年三月と遅れたことについては、乳代の前払いや農水省の緊急補給金の利用もすすめる意向を示しました。
日本の酪農の状況は、アメリカのエタノール需要や投機資金の流入によるトウモロコシなど飼料価格が高騰、生産資材高も重なり経営悪化が続いています。輸入の配合飼料にたよる比率が高い都府県ほど廃業が多く「借金がない酪農家ほど早くやめていく」(広島県の酪農家)という状況になっています。
農民連などの農民団体は、利益を積み増す乳業メーカーへの交渉とともに、東京で集会やパレードなどで訴え、政府や国会要請もおこなってきました。
紙議員が要求
日本共産党の紙智子参院議員はこうした要請にこたえ、「飲用乳価引き上げに関する質問主意書」を政府に提出。千葉県の五十頭経営規模の酪農家の所得が二〇〇七年度はマイナス九十六万円だったことや都府県の乳牛が急速に少なくなっていることを示し、酪農救済の緊急対策を求めていました。