2008年10月18日(土)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

国際社会の変化検討したか 赤嶺議員

麻生首相 基本的に歓迎、戦争には固執

衆院テロ特別委


 日本共産党の赤嶺政賢議員が十七日に衆院テロ特別委員会で行った追及は、報復戦争の行き詰まりを認めながらも、あくまで戦争支援に固執し続ける日本政府の危険な姿勢を浮き彫りにしました。


最悪の事態招く

 赤嶺氏はまず、与党と民主党が、委員会質疑を二日間とし、二十日採決まで合意していることに対し、「解散をめぐる政局のかけひきで、憲法九条にかかわる重大法案審議をないがしろにすることは断じて許されない」と述べ、徹底審議を強く求めました。

 その上で、テロ報復戦争の七年間を経たアフガニスタンでは、今年一―八月の民間人死者数が、昨年同時期比で四割も増えていることを指摘しました。

 赤嶺 アフガンの治安は今まさに最悪の状況になっている。そういう認識はあるのか。

 麻生太郎首相 アフガンの(治安)情勢は激化しているという認識を持っている。

 首相も、アフガンの治安の劇的な悪化を認めざるをえません。問題は、なぜそういう事態が起こっているのか、です。

 赤嶺氏の追及に首相も「テロの温床になっている貧困問題を含めて、いろんな問題はある」としつつ、「外国軍隊がいなくなれば、すべて(の問題)が終わるのか」と述べ、あくまで報復戦争を当然視する立場を示しました。

 赤嶺氏は、七月に米軍ヘリがアフガン東部で結婚式会場を空爆し、女性や子どもを含む数十人の死者を出した事例などを示し、米軍主導の戦争が新たな憎しみと暴力の悪循環をつくりだしていると告発しました。

「政治の増派」を

 こうした報復戦争の行き詰まりの中で、アフガンのカルザイ大統領は、タリバンの指導者オマル師に対話を呼びかけ、実際に九月からに和解交渉が始まりました。

 国連のアフガン特別代表のカイ・エイデ氏も、「軍事的勝利はありえず、政治的手段で勝たなくてはならない」と述べ、「軍の増派」ではなく、「政治の増派」=政治交渉を強める方向への切り替えを求めています。(十月六日)

 赤嶺氏は「こうした国際社会の変化を検討したのか」とただしたのに対し、首相は「(和平に向けた)感じが出てきたことには基本的に歓迎したい」といわざるを得ませんでしたが、給油活動をあくまで継続する考えを繰り返しました。

 そこで赤嶺氏が示したのが、米保守系シンクタンク・ランド研究所の報告書です。一九六八年から二〇〇六年にテロ勢力が活動を終えた理由の43%が政治解決で、軍事作戦の成功はわずか7%にすぎないことを明らかにしています。

 赤嶺 戦争でテロは解決しない。総理が「歓迎」した和平交渉を後押しすることが大事だ。

 首相 戦闘行為だけで、ことが進まないというのは、はっきりしている。

 報復戦争の限界を認めるところまで追い込まれた首相。赤嶺氏は「歴史の経験が、何を教えているのか、はっきりしている。戦争でテロはなくせない」と重ねて指摘しました。

戦費負担やめよ

 最後に赤嶺氏がとりあげたのは、米国からの戦費負担要求です。

 七月に来日したウィルクス米国防副次官補が、日本側に五年間で最大二兆円もの負担を求めたと報じられています。

 赤嶺 米側がお金をよこせというなら、検討の余地があるのか。きっぱり断るのか。

 首相 アメリカが、あーしてくれ、こーしてくれと言ってきたことはない。アメリカは、日本が自主的に決めるべきことだという点で一貫している。

 赤嶺氏は、二千五百億円以上の「思いやり予算」、三兆円に達する在日米軍再編経費に加え、戦費負担まで拒否しようとしない政府に対し、「絶対に認めるわけにはいかない」と批判しました。



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