2008年10月18日(土)「しんぶん赤旗」

51カ国 所得格差拡大

非正規労働増大が要因

ILO報告


 国際労働機関(ILO)は十六日、金融のグローバル化(地球規模化)を背景に、過去二十年間で貧困層と富裕層の所得の格差が世界の多くの国々で拡大したとする報告書を発表しました。金融危機以前の経済成長の利益が不平等に分配された一方、金融危機救済策のコストを国民全体で負担しなければならないため、格差が一段と拡大すると予測。各国が適切な政策を講じる必要があると述べています。


 報告書は、過去二十年間にデータの入手可能だった七十三カ国中五十一カ国で、所得全体に占める賃金の割合が低下(不労所得が増加)したと指摘。賃金の割合が最も下がったのは中南米で13%低下。次にアジア太平洋地域が10%低下しました。

 米国では大企業十五社の最高経営責任者(CEO)の二〇〇七年平均報酬は、労働者の平均所得の約五百二十倍。CEOの報酬は〇三年より45%増え、同時期に3%しか増えなかった労働者の平均所得との格差は〇三年の三百六十倍からさらに広がりました。

 格差拡大の別の重要な要因として、非正規労働の十五年来に及ぶ増大があるとし、非正規労働者の賃金が正規労働者に比べ著しく低いことが問題だと指摘しています。

 税制でも、大多数の国で経済成長の利益を再分配するという機能をはたしていないと分析。一九九三年から二〇〇七年の間に法人税は平均10%低下、最高所得税率は3%低下していると記しています。

 報告は、著しい格差は社会的に有害で、社会的紛争、犯罪多発や平均余命の低下、さらには子どもが学校から離され労働にかりたてられることにつながると強調。各国に対し、雇用を拡大し、所得を増やすような経済、労働、社会政策を進めるよう促しています。



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