2008年10月19日(日)「しんぶん赤旗」
主張
マルチ商法擁護
自民と民主は説明責任果たせ
悪徳商法の代名詞である「マルチ商法」を民主党の前田雄吉衆院議員が支援し、講演料など千三百万円余を受け取っていました。
野田聖子・消費者行政相が、以前にマルチ商法を擁護する質問をしていたことも明らかになっています。野田氏は業者にパーティー券を買ってもらい、講演を引き受けていたことを公表しました。
不問は許されない
マルチ商法は消費者を勧誘して商品を買わせると同時に販売員にし、知り合いを勧誘させて購買・販売の連鎖をピラミッドのように広げる商法です。配下の売上高が増えれば会内の階級と報酬が上がる仕組みによって、洗脳まがいの集会や詐欺的な売り込みなど必然的に勧誘が過熱します。
一握りの上層部は大もうけできてもピラミッドの下部ほど利益より出費が多くなり、生活破たんに追い込まれるシステムです。被害者は配下の者には加害者となり、生活だけでなく人間関係も壊す深刻な被害を引き起こしています。
国民生活センターには毎年二万件を超える苦情が寄せられ、学生に被害が拡大するなど大きな社会問題になっています。こんな悪徳商法を政治家が応援するなどもってのほかです。業界は印象の悪い「マルチ商法」ではなく「ネットワークビジネス」と名乗っていますが、実態はごまかせません。
前田議員は毎年、予算委でマルチ商法を取り上げて礼賛しています。業界を保護・育成する法律制定まで要求し、マルチ商法に注意を促す国民生活センターの冊子に言いがかりをつけるなど、あからさまな圧力をかけてきました。
お金を受け取った見返りに国会質問をしていたとすれば、わいろ性も疑われる重大な問題です。
前田議員だけではありません。事もあろうに民主党を中心にマルチ商法を推進する議員連盟をつくり、前田議員は事務局長、山岡賢次国対委員長が顧問、藤井裕久最高顧問が会長に就いています。民主党は前田議員の離党で幕引きを図ろうとしていますが、国民から見て到底納得できない対応です。前田議員の行動にわいろ性がなかったか徹底調査すべきです。辞めて不問などは許されません。
消費者行政をあずかる野田氏は一九九六年の国会で二回にわたってマルチ商法を取り上げました。「この業界こそベンチャービジネス」「消費者ニーズにかなっている」と持ち上げ、「新産業として認知し業界の健全な発展を支援する立場で国は取り組む」よう求めています。前田議員と大差ありません。
野田氏は「消費者側への意識が希薄だった」と反省をのべています。しかし、明白な業界擁護の質問であったにもかかわらず「業界擁護ではない」と釈明、業界の献金も最近のものしか公表していません。当時の認識が変わっていないのであれば、消費者行政の担当大臣として適格性が問われます。
これ以上被害を出すな
国民生活審議会は、マルチ商法を「消費者利益を必然的に害する」販売方法だと指摘し、「社会的に無価値であり直ちに禁止すべき」だとしています(一九七四年)。日本共産党はマルチ商法の禁止を主張してきました。
前田氏や野田氏の問題で説明責任を果たし、さらに被害者を出さないようにすることこそ、自民、民主両党の責任です。