2008年10月19日(日)「しんぶん赤旗」

自民・民主が競う

大資産家が恩恵 証券優遇税制の延長


 自民、民主両党の税制調査会は十五、十六日と相次いで、来年三月で期限切れとなる証券優遇税制を延長させる方針を固めました。証券優遇税制は、株の売買で得た利益や配当にかかる税率を、本来の20%から10%に軽減しているもので、二〇〇三年から続いています。(佐久間亮)


 十五日の参院予算委員会では、民主党の福山哲郎議員が優遇税制の延長を求めたうえで、さらなる減税策まで提案。麻生太郎首相との間で次のようなやりとりが交わされました。

 福山 長期保有を条件に、三年の期限付きで配当課税を5%とか非課税にする思い切った議論ができないのか。

 首相 千四百五十兆円の巨大な個人金融資産が、貯蓄から投資に回るためには税制が大変大事。

 麻生首相はこれまでも、証券優遇税制によって「株価は上がる。(景気対策として)政府が一円も出さないでできる」などと述べ、“安上がりな景気対策”と主張してきました。

 しかし、証券優遇税制は一握りの大資産家が巨額の恩恵を受ける一方、証券投資をしない人には恩恵のない制度です。派遣や請負の非正規雇用で働く若者、少ない年金で生計をやりくりするお年寄りには全く縁のない話です。

 しかも、米国のサブプライムローン(低信用者向け高金利型住宅融資)問題に端を発した金融危機によって、一年間で世界の株式時価総額は三千兆円減少したといいます(「日経」十五日付)。十六日には、日経平均株価が再び九〇〇〇円を割り込むなど、金融市場はいまだに不安定です。

 購入した株価が下落すれば、税金が安くなったとしても大損する危険さえあります。

 政府・与党、民主党が競い合う証券優遇税制延長の狙いは、将来の不安に備えた国民の預貯金を、危険な金融市場に導くことです。麻生首相に至っては、深刻な危機にいたった金融自由化を反省することもなく、そのスローガンとなった「貯蓄から投資へ」に、この期におよんでも固執しているのです。

 アメリカ発の金融危機から日本経済を救い、国民生活を再建するには、大企業・大資産家優遇の政策を根本的に転換し、雇用と中小企業の経営を守る政策を実行することが決定的です。


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