2008年10月20日(月)「しんぶん赤旗」
主張
新テロ法延長法案
採決を急ぐなどとんでもない
自民・公明の与党と民主党は、海上自衛隊のインド洋での給油支援を来年一月以降も継続する新テロ特措法延長法案を、衆院テロ対策特別委員会でのわずか二日間の審議できょう採決し、あす衆院を通過させようとしています。
アフガニスタンでのアメリカの戦争はますます行き詰まり、政治的解決を求める動きが強まっています。戦争支援の継続に固執するのはまったく異常です。民主党は採決を急がせる理由として衆院の早期解散のためといっていますが、憲法をふみにじる派兵法案を強行するなど言語道断です。
戦争支援の給油継続
日本共産党の赤嶺政賢議員は、同法案の審議が始まった十七日のテロ特委で、与党の自民・公明と民主が合意し、衆院本会議での質疑を省略し、委員会でも二日間の審議だけで採決しようとしていることを厳しく糾弾しました。
アフガニスタンの情勢は、昨年から今年初めにかけ、同法案の延長が審議されたときにくらべても大きく変化しています。軍事行動で行き詰まったアメリカによる住民への無差別爆撃など軍事行動の激化が住民の憎悪を激しくし、戦争ではテロがなくせないことがいよいよ明らかになっています。
空爆中心の無差別攻撃で、今年一―八月だけでもアフガニスタンの民間人が千四百人以上も殺りくされています。結婚式場を空爆し、新婦など二十三人を犠牲にするような非人道的な殺りく行為に、怒りが広がっているのは当然です。
こうしたなか、当のアフガニスタン政府が旧政権勢力タリバンとの和解交渉に入り、国連が「政治手段」による解決を示す(エイデ国連事務総長特別代表)など、政治的解決を求める国際社会の動きが大きくなっています。
日本がやるべきは戦争支援をやめアフガン問題の政治的解決のために努力することであり、戦争支援の継続は、アフガニスタンの民間人の犠牲をさらに増やすことにしかつながりません。日本は給油支援をやめ、自衛隊はインド洋からすみやかに撤退すべきです。
赤嶺議員の条理にかなった質問に、麻生太郎首相は和平の動きを「歓迎」するといいながら、戦争を正当化し給油支援の継続に固執するばかりです。これではアフガン問題の平和的解決の力になりえないばかりか、事態悪化に手を貸すだけです。
アメリカは七月に大統領特使を日本に派遣し、アフガン本土への自衛隊の派兵に加え、戦費を日本にも負担するよう要求しています。河村建夫官房長官は、「正式に要請があれば検討する」といっています。給油支援の継続が、アメリカが求めるこうした戦争支援の拡大へと道を開いていく危険も重大です。
審議をつくし廃案に
新テロ法案をめぐる政府・自民党と民主党の議論では、海外派兵の「恒久法」の検討や「海賊対策」のためソマリア沖への自衛隊派兵まで持ち出されています。政府も民主党も日米同盟を「不変」「第一」とする点では一致しています。アメリカいいなりでは無法な戦争の深みにはまるばかりです。
アフガン問題を戦争ではなく政治的解決に導くためにも、日本が給油支援の継続をやめ、戦争支援拡大の危険な動きを阻止していくことがますます重要です。
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